個人事業主・フリーランスとして開業すると、仕事の準備とあわせて、税務署に出す書類も気になってくると思います。
よくあるのが、
- 開業したら何を出せばいいのかよくわからない
- 青色申告にしたいけれど、どの書類が必要かわからない
- 従業員を雇う場合に追加で何が必要かわからない
というケースです。
開業時の届出は多く見えますが、最初から全部が必要とは限りません。
まずは、自分の開業パターンに合わせて必要なものを整理するのが大切です。
この記事では、個人事業主・フリーランスとして開業したときに押さえたい届出書をまとめます。
届出書だけでなく、開業後にどんな税金がいつ出てきやすいかも、最初にざっくり把握しておくと進めやすくなります。
→ 個人事業主になったら払う税金は?開業後に慌てやすい支払い時期を整理
まず押さえたいのは、この2つです
開業時にまず確認したいのは、基本的には次の2つです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
一人で開業する場合は、まずこの2つを基準に考えると整理しやすいです。
そのうえで、従業員を雇うか、家族へ給与を払うか、インボイス登録をするかで追加の届出が出てきます。
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
これは、
個人として事業を始めたことを税務署に知らせるための届出書
です。
以前は「開業から1か月以内」という説明を見かけることも多かったのですが、国税庁の現在のタックスアンサーでは、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出と案内されています。
提出先
納税地の所轄税務署
添付書類
原則なし
実務上のポイント
期限に少し余裕があるように見えても、開業後は会計ソフトや口座、請求書の準備で慌ただしいので、早めに出しておいた方が安心です。
開業届を出すときは、どこを納税地として考えるかで迷うこともあります。
→ 【個人】バーチャルオフィス・レンタルオフィスで起業した場合の申告先(納税地)はどこ?
2. 所得税の青色申告承認申請書
これは、
所得税の申告を青色申告で行うための申請書
です。
青色申告で進めたい場合は、かなり大事な書類です。
国税庁では、提出期限を次のように案内しています。
提出期限
- 1月1日から1月15日までに開業した場合
→ その年の3月15日まで - 1月16日以後に開業した場合
→ 開業の日から2か月以内
提出先
納税地の所轄税務署
添付書類
なし
実務上のポイント
青色申告の申請を出すことは前提として大事ですが、65万円控除はこの申請書を出すだけで自動的に受けられるわけではありません。現在は、電子申告などの要件も関係するため、「青色申告で進めたいならまず申請」「65万円控除は別要件も確認」が安全です。
3. 従業員を雇うなら、給与関係の届出も確認します
開業時から従業員を雇う場合は、給与関係の届出が必要になります。
給与支払事務所等の開設届出書
これは、
給与を支払う事務所を開設したことを税務署に知らせる書類
です。
国税庁では、給与支払事務所等を開設した日から1か月以内の提出と案内しています。
また、ここは実務上の注意点があります。
国税庁の現行案内では、個人が新たに事業を始めた場合に「個人事業の開業・廃業等届出書」を出しているときの取扱いに例外があり、令和8年1月1日以後に開業した場合は、その例外の外に出る形になっています。今の時点では、従業員を雇って給与を払うなら、この届出も個別に確認しておいた方が安全です。
提出期限
開設した日から1か月以内
提出先
給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署
従業員を雇う場合は、届出だけでなく、給与計算の進め方や必要書類もあわせて確認しておくと安心です。
→ 扶養控除等申告書は入社時に必要?給与計算で困らないための基本を解説
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇う場合に、あわせて確認したいのがこれです。
これは、
源泉所得税の納付を毎月ではなく年2回にまとめるための申請書
です。
給与の支給人員が常時10人未満なら対象になり、国税庁も、提出した月の翌月に源泉徴収する所得税から適用対象になると案内しています。納付期限は、1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日です。
実務上のポイント
毎月納付は忘れやすいので、対象になるなら早めに出しておくと運用しやすいです。
5. 家族に給与を払うなら、青色事業専従者給与の届出も必要です
家族へ給与を払う場合は、
青色事業専従者給与に関する届出書
も関係してきます。
個人事業では、家族に払った給与が自動的に必要経費になるわけではありません。
青色申告を前提に、事業専従の要件などを満たしたうえで届出が必要になります。
提出期限の考え方
青色申告承認申請書と似ていて、
- 1月1日から1月15日までに開業した場合
→ その年の3月15日まで - 1月16日以後に開業した場合
→ 開業の日や専従者となった日から2か月以内
という整理で考えるとわかりやすいです。国税庁の開業案内資料でも、開業初年に必要な届出の期限が整理されています。
実務上のポイント
家族に給与を払う予定がある場合は、後からまとめて考えるのではなく、開業時点で早めに整理しておいた方がスムーズです。
そのほか、必要に応じて出す届出もあります
全員に必要とは限りませんが、内容によっては次の届出も関係してきます。
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 消費税の届出書
- 適格請求書発行事業者の登録申請
特に、開業と同時にインボイス対応の請求書を発行したい場合は、インボイス登録も早めに検討したいところです。国税庁の開業時手続一覧でも、消費税関係の届出が必要に応じて案内されています。
開業直後は、届出だけでなく「これは経費になるのか」で迷う場面も増えます。
→ 経費になる?ならない?迷ったときに持っておきたい判断基準
タイプ別に整理するとこうなります
1人で開業する場合
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
開業時から従業員を雇う場合
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
家族や従業員を雇って開業する場合
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
まずは「重要なものを期限内に」が大切です
開業時は、仕事の準備、会計ソフト、口座、請求書、営業まわりなど、やることが一気に増えます。
その中で、届出書まで完璧に整理するのは大変です。
だからこそ、まずは
- 開業届
- 青色申告承認申請書
- 従業員がいるなら給与関係
- 家族給与があるなら専従者給与の届出
という順で整理すると進めやすいです。
特に、青色申告承認申請書は後回しにしない方が安心です。
まとめ
個人事業主・フリーランスとして開業したら、まず確認したい届出は次のとおりです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
ただし、全員に全部が必要なわけではありません。
一人で開業するのか、従業員を雇うのか、家族に給与を払うのかで必要書類は変わります。
開業直後は、届出書の提出だけでなく、会計ソフトや請求書の運用、インボイス対応まで含めて整えると後がかなりラクになります。
開業時は、届出書の提出だけでなく、青色申告、インボイス、会計ソフトの設定、源泉税の流れなど、まとめて確認したいことが多くなります。
当事務所では、届出の整理だけでなく、開業後の運用やクラウド会計の立ち上げも含めてご相談いただけます。


