こんにちは。税理士の山川です。
独立・開業すると、自分で経理を進める場面が増えてきます。
その中でも、意外とつまずきやすいのが
「この支出はどの勘定科目に入れればいいのか」
という点です。
会計ソフトを使っていても、最初のルールがあいまいだと、入力するたびに迷ってしまいます。
この記事では、個人事業主・フリーランスの方が損益計算書まわりで迷いやすい勘定科目の使い方を、実務目線でわかりやすく整理します。
勘定科目を決める前に、そもそもその支出を経費に入れるかどうかの考え方を整理しておくと、入力ルールを作りやすくなります。
→ 経費になる?ならない?迷ったときに持っておきたい判断基準
勘定科目は「細かく分けること」より「迷わず続けられること」が大切
勘定科目は、細かく分ければよいというものではありません。
もちろん、事業の内容によってはある程度分けたほうが見やすくなることもあります。
ただ、最初から分類を細かくしすぎると、入力するたびに迷いやすくなります。
個人事業主やフリーランスの経理では、まずは
- 同じ支出はできるだけ同じ科目に入れる
- 毎回迷わない
- 後から見返しても分かりやすい
という状態を作ることが大切です。
会計ソフトを使っていても、最初の科目ルールが曖昧だと、入力のたびに迷いやすくなります。
→ クラウド会計とは?今までの会計ソフトとの違いをやさしく解説
よく使う勘定科目
損益計算書でよく使う勘定科目には、たとえば次のようなものがあります。
- 租税公課
印紙代、事業税、固定資産税など - 水道光熱費
電気代、ガス代、水道代など - 旅費交通費
電車代、バス代、タクシー代、宿泊代など - 通信費
切手代、電話代、インターネット利用料など - 広告宣伝費
チラシ代、広告費、パンフレット代など - 接待交際費
取引先との飲食代、贈答品代など - 損害保険料
事務所や店舗に関する損害保険料など - 修繕費
備品や設備の修理代など - 消耗品費
文房具や日用品、少額の備品など - 減価償却費
一定金額以上の資産を購入した場合の費用配分 - 外注工賃
外注先へ支払う業務委託費など - 地代家賃
事務所や店舗の家賃など
こうした科目は、多くの個人事業主やフリーランスが比較的使いやすいものです。
使いすぎないほうがいい勘定科目
雑費
雑費は便利そうに見えますが、できるだけ多用しないほうが分かりやすくなります。
何でも雑費に入れてしまうと、後から見返したときに中身が分かりにくくなります。
経費の説明もしにくくなるため、基本的には他の科目に分けられるなら、そちらを使うほうがおすすめです。
福利厚生費・給与賃金
ひとりで事業をしている場合、福利厚生費や給与賃金は基本的に使わないことが多いです。
福利厚生費は従業員向けの支出、給与賃金は従業員への給料が中心になるため、ひとりで仕事をしている場合には出番が限られます。
間違いやすい勘定科目
勘定科目の使い分けは、初めての確定申告で不安になりやすいポイントの一つです。
→ 初めての確定申告で間違えやすいこと|一度は税理士に確認しておきたいポイント
租税公課
税金の支払いだからといって、何でも租税公課に入るわけではありません。
印紙代や事業税、固定資産税などはこの科目を使いやすいですが、
所得税や住民税は必要経費にならないため、同じ感覚で入れないよう注意したいところです。
損害保険料
事務所や業務に関する損害保険料は、この科目を使うことがあります。
ただし、生命保険料は同じようには扱わないので注意が必要です。
「保険だから全部同じ」と考えると混ざりやすいところです。
消耗品費
会計ソフトによっては、「消耗品費」と「事務用消耗品費」が分かれていることがあります。
ただ、最初からここを細かく分けると運用が面倒になりやすいです。
特別な理由がなければ、まずは「消耗品費」にまとめてしまうほうが使いやすいことも多いです。
フリー項目は「自分の事業でよく使うもの」を出す
会計ソフトや決算書では、自由に使える勘定科目を追加できることがあります。
こうしたフリー項目は、何となく増やすのではなく、
自分の事業で毎年よく出るもの
を独立させるのが使いやすいです。
たとえば、
- 新聞図書費
- 会議費
- 諸会費
- 賃借料
- リース料
- 支払手数料
などは、事業内容によっては分けておくと見やすくなります。
逆に、ほとんど出てこない支出まで独立させると、勘定科目が増えすぎて管理しにくくなります。
開業したばかりの時期は、勘定科目だけでなく、届出や会計ソフトの初期設定もまとめて整えておくと進めやすいです。
→ 個人事業主・フリーランスで開業したらまず出したい届出書は?開業時の手続きを整理
補助科目は「分析しやすくするため」に使う
勘定科目までは分けなくても、内容を集計しやすくしたいときは補助科目を使う方法があります。
たとえば通信費の中でも、
- 郵便代
- 電話料金
- インターネット料金
のように分けておくと、あとで見返しやすくなります。
また、
- 郵便局
- 電話会社
- プロバイダー
のように、支払先ごとに管理したい場合にも補助科目は便利です。
補助科目は、経営分析や決算書の内訳確認にも役立ちます。
ただ、年に1回しか出ないものまで細かく作る必要はありません。
「よく見るもの」「あとで確認しやすくしたいもの」に絞ると使いやすいです。
勘定科目は「正解を探す」より「ルールを決める」
勘定科目で迷うと、「どれが絶対正しいのか」を探したくなります。
ただ、実務ではそこまで厳密に考えすぎるよりも、同じものを毎回同じように入れることのほうが大切です。
たとえば、
- 打合せ時の飲食は会議費にする
- 書籍代は新聞図書費にする
- 振込手数料は支払手数料にする
といった形で、自分の中のルールを決めておくと、入力がかなりラクになります。
まとめ
個人事業主・フリーランスの勘定科目は、細かく覚えることよりも、迷いにくいルールを作ることが大切です。
特に最初は、
- よく使う科目を押さえる
- 雑費を増やしすぎない
- 間違いやすい科目を把握する
- 必要なら補助科目で整理する
このあたりを意識しておくと、経理が進めやすくなります。
勘定科目の使い分けや、会計ソフトの初期設定、入力ルールの整え方で迷っている方は、税務相談・コンサルティング相談をご利用ください。
クラウド会計を前提に、どの科目をどう使うと迷いにくいか、実務に合わせて整理しています。
開業したばかりで、届出や会計ソフト設定も含めて最初に流れを整えたい方は、新規創業・開業支援コンサルティングもご案内しています。


