こんにちは。
個人事業主・中小企業・士業の支援を行っている税理士の山川です。
弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士などの士業では、請求書を作るときに
- 源泉徴収税額を書くべきか
- 書かなくてよいか
で迷うことがあります。
この判断は、「士業かどうか」だけではなく、誰に請求するかで変わります。
この記事では、士業の請求書で源泉徴収税額を記載する・しないの考え方を整理します。
結論:判断のポイントは「請求先」
士業の報酬で源泉徴収税額を書くかどうかは、請求書を出す相手が誰かで変わります。
ざっくり言うと、次のように考えます。
- 法人に請求する場合
→ 原則として源泉徴収あり - 個人に請求する場合
→ 原則として源泉徴収なし - 個人事業主に請求する場合
→ 従業員に給与を支払っているかどうかで変わる
つまり、士業側は
「相手先が法人か、個人か、個人事業主か」
を確認して請求書を作ることが大切です。
源泉徴収の対象になる士業
源泉徴収の対象になるのは、一定の士業に対する報酬・料金です。
代表的には、次のような職種が該当します。
- 弁護士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 公認会計士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 弁理士
- 海事代理士
- 測量士
- 建築士
- 不動産鑑定士
- 技術士 など
一方で、行政書士はこの一覧に含まれていないため、同じ士業でも扱いが違う点には注意が必要です。
源泉徴収するのは誰か
源泉徴収を行うのは、報酬を支払う側です。
つまり、士業の側ではなく、請求先である
- 法人
- 一定の個人事業主
が源泉徴収義務者に該当するかどうかが重要です。
ただし、実務では請求先がこのルールを十分に理解していないこともあります。
そのため、請求書を作る士業側でも、源泉徴収の有無を把握しておくほうが安全です。
相手先ごとの考え方
法人に請求する場合
法人は原則として源泉徴収義務者です。
そのため、士業報酬の請求書は源泉徴収ありで作成します。
個人に請求する場合
個人がプライベートで依頼している場合は、原則として源泉徴収義務はありません。
そのため、源泉徴収なしで作成します。
個人事業主に請求する場合
個人事業主は、従業員に給与を支払っているかどうかで扱いが変わります。
- 従業員に給与を支払っている個人事業主
→ 源泉徴収義務あり
→ 源泉徴収ありで請求 - ひとりで事業をしている個人事業主
→ 源泉徴収義務なし
→ 源泉徴収なしで請求
個人事業主のお客様の場合は、請求書を作る前に確認しておくと安心です。
注意したいポイント
法人に対する支払いでも、受け取る側が法人なら源泉徴収しない
ここは混同しやすいところです。
たとえば、税理士法人や弁護士法人など、報酬を受け取る側が法人である場合には、源泉徴収は不要です。
つまり、
- 個人の士業が受け取る報酬
→ 源泉徴収の対象になり得る - 法人の士業が受け取る報酬
→ 原則として源泉徴収なし
という違いがあります。
具体例
弁護士の場合
- 法人から法律相談を受けた
→ 源泉徴収あり - 個人から離婚相談を受けた
→ 源泉徴収なし - 従業員を雇っている個人事業主から依頼を受けた
→ 源泉徴収あり - ひとりで事業をしている個人事業主から依頼を受けた
→ 源泉徴収なし
司法書士の場合
- 法人から設立登記の依頼を受けた
→ 源泉徴収あり - 個人から相続登記の依頼を受けた
→ 源泉徴収なし - 従業員を雇っている個人事業主から依頼を受けた
→ 源泉徴収あり - ひとりで事業をしている個人事業主から依頼を受けた
→ 源泉徴収なし
実務では「請求書どおり払われる」ことも多い
本来、源泉徴収の義務があるかどうかは、支払う側が判断すべきものです。
ただ、実際には請求書に書かれている内容のまま支払われてしまうことも少なくありません。
そのため、源泉徴収が必要なのに請求書に反映していないと、
支払う側のお客様に負担やペナルティのリスクが出ることがあります。
士業の側でも、相手先の属性を確認し、源泉徴収税額を適切に記載して請求書を作ることが大切です。
まとめ
士業の請求書で源泉徴収税額を書く・書かないの判断は、
**「士業かどうか」だけでなく、「誰に請求するか」**で決まります。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 法人に請求する場合は、原則として源泉徴収あり
- 個人に請求する場合は、原則として源泉徴収なし
- 個人事業主は、従業員に給与を支払っているかどうかで変わる
- 受け取る側が法人の士業であれば、原則として源泉徴収なし
請求書作成の段階で整理しておくと、後での修正やトラブルを減らしやすくなります。
士業の方の会計・税務・業務の流れについてご相談がある方は、こちらもご覧ください。
→ 士業のための「会計・税務・業務のサポート窓口」


