設備投資で消費税の還付を受けたい。インボイスの登録をしたら課税事業者になると聞いた。逆に、課税事業者をやめて免税事業者に戻りたい。こうしたときに関係するのが「消費税課税事業者選択届出書」と「消費税課税事業者選択不適用届出書」です。
先に結論をお伝えします。
課税事業者選択届出書は、本来は消費税の免税事業者になる事業者が、あえて課税事業者になるときに出す届出書です。原則として、出した課税期間の翌課税期間から課税事業者になり、2年間は免税事業者に戻れません。インボイスの登録をする免税事業者は、令和11年9月30日までの日を含む課税期間中に登録する場合、この届出書を出さなくても登録日から課税事業者になれます。免税事業者に戻るには、選択不適用届出書や登録の取消しの届出を期限までに出す必要があります。
課税事業者選択届出書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出す場面 | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、本来は免税事業者になる事業者が、課税事業者になりたいとき(設備投資や輸出で消費税の還付を受けたい場合など) |
| 効力 | 原則として、出した日の属する課税期間の翌課税期間から |
| 開業・設立の場合 | 事業を開始した日の属する課税期間中に出せば、その課税期間から課税事業者になれる(翌課税期間からを選ぶこともできる) |
| 期限の注意 | 課税期間の末日が土日・祝日でも、期限は延びない |
例(3月決算の法人):4月1日から始まる事業年度から課税事業者になりたい場合は、その前の事業年度の末日(3月31日)までに出します。
選択の効力は、やめる届出を出すまで続く
選択届出書の効力は、選択不適用届出書を出さない限り続きます。何年も前に選択届出書を出していたことに気づかず、売上が1,000万円以下だから免税事業者だと判断してしまう、ということがあるので注意します。
課税事業者選択不適用届出書と2年の縛り
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 効力 | 出した日の属する課税期間の末日の翌日から、選択の効力がなくなる |
| 2年の縛り | 課税事業者になった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ出せない(事業を廃止した場合を除く)。つまり、課税事業者を選択したら、原則として2年間は免税事業者に戻れない |
| 3年の縛り | 上の2年の間に、税抜100万円以上の固定資産など(調整対象固定資産)を買い、その課税期間を一般課税で申告した場合は、原則として3年間は免税事業者に戻れない |
インボイスの登録との関係
- 登録している間は、売上が1,000万円以下でも免税事業者になりません
- 登録の経過措置:令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日を含む課税期間中に、免税事業者が登録を受ける場合は、課税事業者選択届出書を出さなくても、登録日から課税事業者になれます(登録希望日は、申請書を出した日から15日以降の日)
- 経過措置で登録した場合の2年:登録日を含む課税期間が令和5年10月1日を含まない場合は、登録日を含む課税期間の翌課税期間から、登録日以後2年を経過する日を含む課税期間まで、免税事業者に戻れません
- 経過措置の対象外の課税期間に登録する場合:この経過措置の対象外の課税期間に、免税事業者がインボイスの登録を受ける場合は、原則として課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となる必要があります
免税事業者に戻りたいとき
- 「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を出す(翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに出すと、翌課税期間の初日に登録の効力がなくなる。過ぎると翌々課税期間から)
- 課税事業者選択届出書も出している場合は、別に選択不適用届出書を、免税事業者になりたい課税期間の初日の前日までに出す
- 上の「2年の縛り」に当たっていないかを確かめる
例(3月決算の法人):取消しの届出書は3月17日まで、選択不適用届出書は3月31日までに出します。
当事務所の考え方
当事務所では、消費税の申告の前に、届出書の控えで「何を出したか」と「いつから効いているか」を確かめることを基本にしています。課税事業者の選択やインボイスの登録に当てはめると、選択届出書・不適用届出書・登録や取消しの届出の控えと日付をそろえ、2年の縛りに当たっていないかを確かめてから、課税事業者か免税事業者かを判断する、という考え方になります。
まとめ
- 課税事業者選択届出書は、原則として出した課税期間の翌課税期間から効く(開業・設立した課税期間は、その課税期間から選べる)
- 課税事業者を選択したら、原則として2年間(調整対象固定資産を買った場合は3年間)は免税事業者に戻れない
- インボイスの登録をしている間は、売上が1,000万円以下でも免税事業者にならない
- 令和11年9月30日までの日を含む課税期間中に登録する免税事業者は、選択届出書なしで登録日から課税事業者になれる(2年の縛りに注意)
- 免税事業者に戻るには、登録の取消しの届出と、必要に応じて選択不適用届出書を期限までに出す
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