支払いはきちんと済ませているのに、試算表を見ると買掛金や未払金の残高が毎月少しずつ増えている。どれが残っているのか分からないまま、決算まで持ち越してしまう。そんな相談は少なくありません。
この記事では、買掛金・未払金が残り続けるときに、どこから確認するとよいかをお伝えします。預金残高が通帳と合わない場合の確認の順番は 会計ソフトの預金残高が通帳と合わないとき、どこから確認する? にまとめていますので、ここでは買掛金・未払金の残高に絞ります。
結論:取引先ごとに残高を出し、「何か月分残っているか」を追う
- 買掛金・未払金は、合計の残高ではなく 取引先ごとの残高 で見る
- 毎月支払っている相手なら、月末に残るのは通常「支払前の1か月分」程度になる
- 月末の残高と、その月に計上した金額を比べ、合わなければ前の月の分も足して、何か月分残っているかを確かめる
- 残っている月が分かったら、その月の支払いがどう登録されているかを見る
言葉の確認をしておくと、買掛金 は商品の仕入れや外注など本業に関わる代金のうち、まだ払っていないもの、未払金 はそれ以外(備品・サービス・カードの利用分など)でまだ払っていないものです。どちらも「払えば消えるはずの残高」です。
確認する順番
取引先ごとの残高を出す
会計ソフトで、買掛金・未払金の残高を取引先ごと(補助科目や取引先の区分)に表示します。合計額だけを見ていると、どの相手の分が残っているのかが分かりません。
取引先を付けずに登録している取引が多いと、この時点で「取引先なし」の残高がまとまって出てきます。まずはその部分を、請求書と照らして相手を特定するところから始めます。
支払いのサイクルを確認する
取引先ごとに、「毎月何日締めで、いつ払っているか」を確認します。たとえば月末締め・翌月25日払いの相手なら、月末の時点で残っているのは、その月に計上した1か月分だけのはずです。
月末の残高と、その月に計上した金額を比べる
取引先ごとに、月末の残高と、その月に計上した金額(請求書の金額)を比べます。
- 一致する → その月の分だけが残っている。支払いのサイクルどおりで、問題なし
- 一致しない → 前の月に計上した金額も足して、もう一度比べる
- 2か月分の合計と一致する → 前の月の支払いが消し込まれていない可能性がある
- さかのぼっても一致しない → 期首から残っている金額、計上漏れ、二重計上などを疑う
この「新しい月から順に足していく」確認をすると、何か月分がどこで止まっているかが見えてきます。
止まっている月の支払いを探す
残っている月が分かったら、その月の分を払った日の預金やカードの明細を探し、帳簿でどう登録されているかを見ます。
よくある原因
支払いを、買掛金・未払金ではなく経費で登録している
請求書が届いたときに買掛金・未払金で計上し、支払ったときに預金の明細から もう一度経費として 登録してしまうケースです。経費が二重になり、買掛金・未払金は消えずに残ります。銀行連携の自動仕訳ルールが、支払先の名前だけで経費の科目を付けている場合に起きやすくなります。
同じ支払いが、別の経路から二重に登録されている
立替で精算した支払いを、法人カードの明細からも登録してしまう。請求書払いにした支払いを、現金でも払ったことにしてしまう。支払いの経路が違うと、同じ金額・近い日付の取引が2件あっても気づきにくくなります。
Amazonなどの購入とカードの明細を両方連携している場合も、同じ購入が二重に取り込まれることがあります。考え方は マネーフォワードクラウドでAmazonとクレジットカードを連携するときの注意点 で紹介しています。
振込手数料や値引きの分だけ、少額が残る
請求額から振込手数料を差し引いて支払った、値引きしてもらった、といった場合に、差額の処理をしていないと、数百円などの少額が残り続けます。取引先とどちらが手数料を負担すると決めているかに合わせて、差額を処理します。差額を支払手数料として費用にする、値引きとして処理するなどが一般的な選択肢です。どちらにするかは一律には決めず、取引内容・過去から続けている処理・使っている会計ソフト・会社の経理の運用を確認して決めます。
取引先を付けずに登録している
支払いの側だけ取引先が付いていない、あるいは別の名前で登録されていると、取引先ごとの残高では「払っていない」ように見えます。表記の違い(株式会社の有無、全角と半角など)でも起きます。
残高がマイナスになっている
マイナスの残高は、請求の計上がないまま支払った、同じ支払いを2回登録した、などのサインです。通常はありえない状態なので、優先して確認します。
月末にやっておくと、決算で困りにくいこと
- 取引先ごとの残高を月1回は見る
- 残っている金額が「支払前の1か月分」に収まっているかを確認する
- 数か月前から動いていない残高があれば、その月のうちに原因を確かめる
決算では、買掛金や未払金の残高を一つずつ見直します(決算では何をするの?)。毎月確認しておくと、決算のときに何か月分もさかのぼって調べる必要がなくなります。
山川事務所ではどこまで支援するか
月次の確認では、買掛金・未払金などの残高について、合計額だけでなく中身が説明できる状態かどうかも見ています。
- 二重登録や科目の付け違いなど、帳簿と証憑から判断できるものは、入力済みの内容でも事務所側で修正または確認します
- 何の支払いか・いつ払ったかなど、帳簿だけでは分からない残高は、事務所側で推測して消し込むことはせず、請求書などの資料や支払いの状況を、都度細切れにではなく、可能な範囲でまとめてお客様に確認します
- 取引先を付けるルールや、自動仕訳ルールの見直しなど、同じズレが起きにくい設定の整理も、税務顧問の中で行っています(勘定科目・自動仕訳ルール・税区分・摘要ルールの整理)
- 前期以前から原因の分からない残高が残っていて、過年度にさかのぼる残高の調査や帳簿の修正が必要な場合は、通常の月次の確認とは分けて扱います。作業量を確認して、個別に対応範囲・料金をご案内します
まとめ
- 買掛金・未払金は、取引先ごとの残高で見る
- 支払いのサイクルを確認し、月末に何か月分残っているかを追う
- よくある原因は、支払時の経費の二重登録、支払経路をまたいだ二重計上、振込手数料などの差額、取引先の付け忘れ
- マイナスの残高は優先して確認する
- 毎月確認しておくと、決算でさかのぼる手間が減る
関連記事
- 小さい会社の月次経理、毎月どこまで締めればいい?
- 月次で未払・前払はどこまで計上する?年払いのサブスクはどうする?
- 決算では何をするの?法人決算で確認する基本作業をわかりやすく整理
- マネーフォワードクラウドでAmazonとクレジットカードを連携するときの注意点
- 経理を2〜3か月ためてしまったら、どこから手をつける?
残高が消えない原因が分からないときは
今の経理のどこで止まっているか、から話してください。初回約60分は無料です(現状の整理と料金のご案内まで。個別の税務判断は有料相談)。
オンライン全国対応/港区・北区・王子・赤羽・板橋・豊島エリア


