税理士に依頼する場合、契約の形は大きく2つに分かれます。
- 税務顧問(継続契約): 月次・四半期など、決められた頻度で相談・確認しながら年間を通してサポートする形
- 決算申告のみ: 決算・申告のタイミングだけを依頼する形
初回相談でよくお聞きするのが、「顧問契約は費用が高そうで踏み切れない」「決算申告のみで済むかどうか判断がつかない」というお声です。
この記事では、両者の違いを整理したうえで、どちらを選ぶかの判断材料をご紹介します。
税務顧問と決算申告のみ の対応範囲比較
まず、両者の一般的な対応範囲を並べて比較します(事務所ごとに細部は異なります)。
対応範囲の比較表
| 項目 | 税務顧問 | 決算申告のみ |
|---|---|---|
| 月次または四半期の打合せ | ✅ 含む | ❌ 含まない |
| 日々の税務・経理質問への随時対応 | ✅ 含む | ❌ 含まない |
| 会計データのチェック | ✅ 月次または随時 | 決算時のみ |
| クラウド会計の運用サポート | ✅ 含む | ❌ 別途相談 |
| 年次の決算処理・申告書作成 | ✅ 含む | ✅ 含む(メイン) |
| 消費税申告 | ✅ 含む(該当時) | ✅ 含む(該当時) |
| 経営状況の月次共有 | ✅ 含む | ❌ 含まない |
| 相談したい時にすぐ聞ける | ✅ | ❌(次の申告時期まで) |
費用感の考え方
費用は、売上規模、面談頻度、記帳代行の有無、消費税申告の有無によって変わります。
そのため、月額顧問料だけでなく、決算料や記帳代行料を含めた年間費用で確認することが大切です。
当事務所の料金ページでは、売上規模別の年間費用の目安を掲載しています。契約前の判断材料として、あわせてご確認ください。
決算申告のみで済むケース
以下のようなケースは、決算申告のみでスタートしても支障が出にくいと考えられます。
ケース1: 取引パターンが単純で、月次で判断に迷う場面が少ない
- 売上先が数社に固定されている
- 経費項目のパターンが安定している
- 会計ソフトの入力を自分でできている
- 消費税の課税事業者ではない、または簡易課税で処理が定型化している
ケース2: 経理担当(自分または家族・スタッフ)が経理に慣れている
- 会計ソフトの操作に慣れている
- 領収書・請求書の整理ができている
- 月末チェック(残高・未払・売上)が回っている
ケース3: 年間の相談ニーズが少ない
- 事業の変化が緩やか
- 大きな判断(法人化・組織変更・M&A・不動産投資 等)の予定がない
- 「困ったときは自分で調べる」で回っている
税務顧問が向いているケース
以下のようなケースは、顧問契約で日々の相談ができる形を推奨します。
ケース1: 取引が複雑・判断に迷う場面が多い
- 売上・仕入の種類が多い
- インボイス取引・免税事業者との取引が混在
- 現金・立替・按分など、判断が必要な取引が多い
ケース2: 事業の変化が早い・意思決定の頻度が高い
- 売上が急伸/減少している
- 新規事業・新規取引が発生する予定
- 法人化・組織変更・出資関連の判断が控えている
ケース3: 経営数字を月次で把握したい
- 月次試算表を見ながら意思決定したい
- 毎月の売上・利益推移を税理士と共有したい
- 経費の使い方・投資判断について定期的に相談したい
ケース4: 「すぐ聞ける相手」が欲しい
- 判断に迷ったときに、税理士に確認できる状態を維持したい
- 税務調査対応・急な相談への備え
どちらを選ぶかの判断基準3つ
迷ったときは、次の3点で整理してみるとわかりやすくなります。
判断基準1: 売上規模
| 売上規模 | 検討しやすい相談形態の例 |
|---|---|
| 500万円未満 | 決算申告のみ・単発相談・ライトプランなどを状況に応じて検討 |
| 1,000万円未満 | 決算申告のみ または ライトプランが候補 |
| 3,000万円未満 | ライトプラン または ベーシックプランが候補 |
| 5,000万円未満 | ベーシックプランを中心に、記帳代行の有無も含めて検討 |
| 1億円未満 | ベーシック または プレミアムを中心に、面談頻度・支援範囲を検討 |
※ あくまで目安であり、取引内容、経理状況、相談頻度によって変わります。
判断基準2: 取引の複雑さ
- 売上先・仕入先の数、種類の多さ
- 現金取引の割合
- 立替・按分など、判断を伴う項目の多さ
複雑さが高いほど、月次でチェック・相談できる顧問契約が向きます。
判断基準3: 不安の度合い
- 「困ったときにすぐ相談できる相手が欲しい」
- 「月次の数字を第三者に見てもらいたい」
- 「税務調査が来たときのバックアップが欲しい」
こうした「安心感」の重みを感じるなら、費用面のバランスを含めても顧問契約の価値が出やすくなります。
「日々の税務・経理質問への随時対応」があるかないかの差
税務顧問と決算申告のみの、目に見えにくい大きな差が、日々の質問対応です。
顧問契約に含まれる場合
- 「この経費、事業のものとして計上していいか」を電話・メール・チャットで聞ける
- 「この売上、消費税の課税対象か」をその場で確認できる
- 「取引先からこう言われたが、対応してよいか」を相談できる
- 決算前に「今の推定利益・推定納税額」を試算できる
決算申告のみの場合
- 判断は基本的に自分で行い、年1回の決算時にまとめて確認する
- 「これは大丈夫だろう」と処理してきたことが、決算時に問題として顕在化することもある
- 期中の質問は原則有料の単発相談として対応(都度見積 or 時間単価)
顧問契約と決算申告のみの「中間」の選択肢
「毎月は必要ない・でも年1回だけだと不安」という方には、次のような中間の選択肢もあります。
選択肢1: 決算申告のみ + 単発相談(都度)
決算申告のみを基本契約にし、必要なときだけ有料で相談する形。
- 費用: 決算申告料 + 相談時に時間単価
- 向いている方: 相談頻度が年数回程度で済む方
選択肢2: ライトプラン(年4回・四半期に1回程度の打合せ)
顧問契約の入口として、四半期ごとの打合せで年間を通じて相談できる形。
- 向いている方: 「月次までは要らないが、四半期ごとには税理士と話しておきたい」方
- 日々の質問対応も含まれる場合が多い(事務所によって扱いが変わります)
選択肢3: スポット相談から始めて、様子を見て顧問契約に切り替え
まずは単発相談で状況を整理し、その後の必要度合いを見て顧問契約を検討する形。
- 費用: スポット相談時のみ発生
- 向いている方: 「まず現状を整理したい」段階の方
選び方を初回相談で整理する方法
初回相談では、次の3つの視点で選び方を整理することが多いです。
視点1: 事業のフェーズ
- 開業前・開業直後 → クラウド会計の導入 + スポット相談から
- 立ち上げ後1〜3年 → ライトプラン または 決算申告のみ
- 安定期 → ベーシック または プレミアム
- 事業拡大期・組織変更期 → プレミアム
視点2: 経理の担当
- 自分ですべて処理 → 決算申告のみでも可
- 経理担当がいる → 顧問契約で運用チェックを追加
- 記帳代行を依頼したい → 顧問契約 + 記帳代行
視点3: 予算感
当事務所のお問い合わせフォームでも同じ区分で予算感をお聞きしています。
- 年間20万円未満
- 年間20〜40万円
- 年間40〜60万円
- 年間60〜80万円
- 年間80万円以上
- まだ分からないので相談したい
年間20万円未満の場合は、顧問契約よりも決算申告のみ・単発相談の方が合いやすい場面が多くあります。
具体的な金額目安は料金ページで確認いただけます。
まとめ
- 税務顧問と決算申告のみは、対応範囲・費用感・「日々の質問対応の有無」が大きく違う
- 選ぶ判断基準は、①売上規模 ②取引の複雑さ ③不安の度合い
- 「中間」の選択肢(ライトプラン・スポット相談併用)もあるので、二択で迷わなくてOK
- 迷ったら、初回相談で「事業フェーズ・経理担当・予算感」の3視点から整理できます
税理士との契約は、費用だけで決めると後で合わないことがあります。「今の自分の事業に合う関わり方はどれか」を先に整理しておくと、無理のない形が選びやすくなります。
選び方を整理してから、進め方を決めたい方へ
山川喜彰税理士事務所の初回相談では、事業のフェーズ・経理体制・予算感の3視点から、
顧問契約・決算申告のみ・単発相談のどれが合いやすいかを一緒に整理します。
費用の目安は料金ページでも先にご確認いただけます。
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