こんにちは。
港区で、個人事業主・中小企業の税務や経理改善を中心に対応している税理士の山川です。
会社の決算対策というと、
「保険に入って節税する」
という話を耳にすることがあります。
たしかに、法人保険は決算対策の選択肢の一つです。
ただし、今は保険に入れば一律で大きく損金になる、という話ではありません。 保険の種類や解約返戻率、受取人の設定によって、保険料の取扱いはかなり変わります。定期保険や第三分野保険でも、相当多額の前払部分があるものは一部資産計上が必要で、養老保険も受取人の設定で取扱いが異なります。
そのため、法人保険は
入口でどれだけ費用になるか だけでなく、
出口で保険金や解約返戻金をどう受け取るか
までセットで考えることが大切です。
決算対策は、保険だけでなく、法人税・消費税・住民税などを含めた全体像の中で考えると整理しやすくなります。
→ 法人を設立したらどんな税金を払う?法人化後に慌てやすい支払いを整理
保険料を払うときの考え方(入口)
法人保険の保険料は、保険の種類によって
- 全額をそのまま損金算入できるもの
- 一部を損金算入し、一部を資産計上するもの
- いったん資産計上が中心になるもの
があります。
たとえば、定期保険や第三分野保険では、相当多額の前払部分が含まれないものは、原則として期間の経過に応じて損金算入します。
一方で、保険期間3年以上かつ最高解約返戻率が50%を超えるものは、一定割合を資産計上する取扱いがあります。国税庁は、この見直しについて「課税所得の期間計算を適正に行う観点から、支払保険料の損金算入時期を適正化した」と説明しています。
つまり、
保険に入れば大きく利益圧縮できるとは限らない
ということです。
決算前の利益対策には、保険だけでなく、従業員賞与のようにその期の利益の使い方として考える方法もあります。
→ 従業員に賞与を払って節税できる?決算賞与の考え方と注意点
それでも法人保険が決算対策として使われる理由
それでも法人保険が決算対策として検討されるのは、税務だけでなく、本来の保険機能もあるからです。
たとえば、
- 万一の保障を持てる
- 解約返戻金を将来の資金として使える場合がある
- 役員退職金など、将来の支出に備える設計と組み合わせやすいことがある
といった点です。
ただし、ここで大事なのは、
節税目的だけで契約しないこと
です。
国税庁の現在の取扱いを見ると、保険料の損金算入はかなり細かく整理されており、単純な節税商品として考えるとズレやすいです。
保険のデメリット
法人保険には、当然デメリットもあります。
まず、保険料を払えば、その分だけ現金は減ります。
税金が減るとしても、払った保険料以上にお金が残るわけではありません。
また、解約返戻金があるタイプの保険では、
後で返ってくるお金があるから大丈夫
と考えたくなりますが、受け取るときには益金になることがあります。
つまり、税金が消えるのではなく、将来に繰り延べているだけ という見方が必要です。
そのため、
- 毎年の保険料を無理なく払えるか
- 将来いつ、どのように出口を使うのか
- 解約返戻金を受け取った年に、何とぶつけるのか
まで見ておかないと、思ったほど効果が出ないことがあります。
出口まで考えて使う
法人保険は、入口だけ見て判断すると失敗しやすいです。
たとえば、解約返戻金が入る年に、
- 役員退職金を支払う
- 大きな投資や修繕がある
- 利益が出そうな年にぶつける
など、出口まで含めて考えることで使いやすくなることがあります。
ただし、これは会社ごとの状況によります。
保険を使うこと自体が目的ではなく、
会社のお金の流れと将来の支出に合っているか
を見て判断したいところです。
解約返戻金を役員退職金や将来の支出とどうぶつけるかを考えるときは、役員へのお金の出し方のルールもあわせて整理しておくと進めやすいです。
→ 役員報酬(社長の給料)のルールをやさしく解説|変更できるタイミングも整理
役員や従業員を被保険者にする場合の注意点
保険の受取人を誰にするかによっても、税務上の扱いは変わります。
たとえば養老保険では、
- 死亡保険金・生存保険金ともに法人受取
→ 原則資産計上 - 死亡保険金は遺族、生存保険金は法人受取
→ 2分の1資産計上・残りは期間経過で損金算入 - 死亡保険金・生存保険金ともに本人や遺族受取
→ 給与扱い
という整理です。役員や特定の使用人だけを対象にしている場合は、給与課税が絡むこともあります。
つまり、
同じ「保険」でも契約内容で税務処理がかなり違う
ということです。
役員まわりの支出は、保険だけでなく、役員報酬や役員賞与でも別ルールになるため、同じ感覚で考えないことが大切です。
→ 事前確定届出給与とは?役員ボーナスを出すときの基本と注意点
まとめ
法人保険は、会社の決算対策として使われることがあります。
ただし、今は
- 保険の種類
- 解約返戻率
- 受取人
- 契約内容
によって、保険料の損金算入や資産計上の扱いが細かく分かれています。
そのため、
- 入口でどれだけ費用になるか
- 出口で何が益金になるか
- 現金がどれだけ出ていくか
- 将来どう使うか
をセットで考えることが大切です。
保険は、うまく使えば有効な選択肢になることがあります。
ただし、焦って飛びつくのではなく、保障内容と税務処理の両方を見て判断する のが基本です。
法人保険は、損金算入の割合だけでなく、資金繰り、将来の出口、役員や従業員との関係まで含めて見ておくと判断しやすくなります。
→ 税務相談・コンサルティング相談を見る
法人保険は、
- どのくらい損金になるのか
- 解約返戻金をどう考えるのか
- 役員退職金などとどう組み合わせるのか
- そもそも今の会社に必要か
で判断が分かれやすいテーマです。
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