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従業員に賞与を払って節税できる?決算賞与の考え方と注意点

法人税

こんにちは。
港区で、個人事業主・中小企業の税務や経理改善を中心に対応している税理士の山川です。

決算前に利益が出そうなとき、
「税金で払うくらいなら、従業員に賞与として還元したほうがいいのでは?」
と考える会社は少なくありません。

実際、従業員に支払う賞与は、一定の条件を満たせば会社の費用になります。
ただし、支給の時期や未払計上のやり方を間違えると、思っていた事業年度で費用にできないことがあります。使用人賞与は、原則として支払った日の属する事業年度で損金算入されますが、通知・支払時期・損金経理の要件を満たした未払賞与は、通知日の属する事業年度で損金算入できます。

今回は、従業員に対する決算賞与を使った決算対策の考え方を整理していきます。

決算前の利益対策は、賞与だけでなく、法人税・消費税・住民税などを含めた全体像の中で考えると整理しやすくなります。
法人を設立したらどんな税金を払う?法人化後に慌てやすい支払いを整理


従業員に対する賞与は、会社の費用にできる

従業員に対する賞与は、役員に対する賞与と違い、一定のルールのもとで会社の費用にすることができます。
そのため、決算前に利益が出ているときに、従業員へ賞与として還元することは、結果として税負担を抑えることにつながる場合があります。使用人賞与の損金算入時期は国税庁のタックスアンサーでも整理されており、役員給与は別のルールで扱われています。

ただし、ここで大事なのは、
「節税になるから払う」だけで決めないこと
です。

賞与を出せば当然、会社の現金は減ります。
そのため、資金繰りも含めて考える必要があります。


決算賞与のメリット

決算賞与のメリットとしては、次のような点があります。

  • 利益を圧縮しやすくなる
  • 従業員に利益を還元できる
  • 頑張りに対する評価が伝わりやすい
  • モチベーションの維持や向上につながることがある

特に、会社として利益が出た理由の一部が従業員の働きによるものであれば、賞与として還元するのは自然な流れです。


決算賞与のデメリット

一方で、デメリットもあります。

  • 手元資金が減る
  • 賞与支給後の資金繰りに注意が必要
  • 一度出すと、翌年以降とのバランスが難しくなることがある
  • 賞与額の決め方が曖昧だと不公平感が出やすい

賞与は、単に税金を減らすための道具ではなく、従業員との関係にも影響するものです。
そのため、会社の数字だけでなく、社内への伝わり方も考えたいところです。


決算賞与を当期の費用にするには?

ここは実務上かなり大事です。

従業員賞与は、実際に支払った事業年度で費用になるのが原則です。
つまり、決算日までに支給してしまえば、その期の費用として考えやすいです。

一方で、決算日をまたいで支払う場合でも、未払賞与として当期の費用にできるケースがあります。
その場合は、次の要件を満たす必要があります。

  • 各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に支給額を通知していること
  • 通知した日の属する事業年度終了日の翌日から1か月以内に支払っていること
  • 通知した金額を、その事業年度で損金経理していること

つまり、
未払計上すれば何でも当期の費用になるわけではない
ということです。

賞与の扱いは、従業員と役員でルールが大きく違います。役員報酬や役員賞与は別の考え方になるため、混同しないよう注意が必要です。
役員報酬(社長の給料)のルールをやさしく解説|変更できるタイミングも整理


決算日までに払うほうがわかりやすい

実務では、未払賞与の要件を満たすようにきちんと運用することも可能です。
ただ、通知や支払時期の管理がズレると、費用にできる期が変わってしまいます。

国税庁のルール上、要件を満たさない賞与は、実際に支払った日の属する事業年度で損金算入する扱いです。

そのため、決算対策として確実性を重視するなら、
決算日までに支給してしまうほうがシンプル
です。

決算対策は、賞与だけでなく、減価償却や未払・未収の整理など、決算特有の確認事項とあわせて見ていくと進めやすいです。
減価償却とは?定額法・定率法の違いと実務での考え方


もし支払いが遅れたらどうなる?

「決算で未払賞与を計上したけれど、支払いが1日遅れた」
このような場合、その未払計上した事業年度では費用にできず、実際に支払った事業年度の費用として扱うことになります。

永久に費用にならないわけではありません。
ただし、節税したかった期に効かない ので、決算対策としてはズレてしまいます。


賞与を出すなら、金額の決め方も大事

決算賞与は、払えばそれで終わりではありません。

  • どのように金額を決めるか
  • 誰にいくら支給するか
  • 支給基準をどう考えるか

このあたりが曖昧だと、従業員との関係にも影響します。

賃金規程や賞与の考え方を整理しておくと、後から説明しやすくなります。


賞与には社会保険料・雇用保険料も関係する

賞与を支給するときは、税金だけでなく社会保険料や雇用保険料も見ておく必要があります。

厚生年金保険では、賞与は「標準賞与額」で保険料計算の対象になり、税引前賞与額から1,000円未満を切り捨てた額を基礎にします。1回の支給につき150万円が上限で、年3回以下の回数で支給されるものが標準賞与額の対象です。

また、労働保険料の対象となる賃金には、給料や手当だけでなく賞与も含まれます。

つまり、
賞与を出せば会社の負担は賞与額だけでは終わらない
ということです。


役員に対する賞与は別ルール

ここもよく混同されるところです。

従業員賞与は会社の費用になる余地がありますが、役員に対する賞与は原則として損金不算入です。
役員給与で損金算入できるのは、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与など、法人税法で認められた類型に限られます。

そのため、
従業員賞与と同じ感覚で役員賞与を考えない
ことが大切です。

役員にボーナスを出したい場合は、従業員賞与とは別に、事前確定届出給与のルールを確認しておく必要があります。
事前確定届出給与とは?役員ボーナスを出すときの基本と注意点


まとめ

決算前に利益が出ているとき、従業員に賞与を支給することは、税負担を抑える方法の一つになります。
ただし、ポイントは次の3つです。

  • 従業員賞与は、原則として支払った事業年度で費用になる
  • 未払賞与でも、通知・支払時期・損金経理の要件を満たせば当期費用にできる
  • 社会保険料や雇用保険料、資金繰りも合わせて考える必要がある

決算賞与は、単なる節税策というより、
利益の使い方の一つ と考えると整理しやすいです。

決算賞与を出すかどうかは、利益見込み、資金繰り、社会保険料負担、翌期以降とのバランスまで含めて考えると進めやすくなります。
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税金で払うだけでなく、従業員へ還元することが会社にとってプラスになる場合もあります。
数字と資金繰りを見ながら、早めに検討していきましょう。

決算前に利益が出ていると、

  • 決算賞与を出すか
  • どの期の費用にできるか
  • 資金繰りに無理がないか
  • 役員賞与との違いをどう考えるか

で迷いやすいです。

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