領収書・請求書を毎月どう集めれば、経理が止まらない?小さい会社の集め方と保存のルール

領収書・請求書の集め方 バックオフィス

会計ソフトに口座やカードを連携していても、月末になると「この支払いの領収書はどこ?」「請求書はメールで来ていたはず」と探す時間がかかる。社長のカバン、事務所の机、メールの受信箱、ECサイトのマイページと、資料の置き場所が散らばっていると、経理はそこで止まります。この記事では、少人数の会社が、領収書・請求書を毎月どう集めれば経理が止まらないかをお伝えします。

結論:入口ごとに「誰が・いつ・どこへ」を決める

  • 資料の入口(紙・メール・ECサイト・請求書を送る側)ごとに、置き場所を1か所に決める
  • 集める人と、集める日(締め日)を決める
  • カードや口座の明細は「お金の動き」、領収書・請求書は「取引の中身と証拠」。役割が違うので両方そろえる
  • データで受け取ったものは、データのまま保存するのが原則
  • 何の支払いか、あとで分からなくなりそうなものは、受け取ったときに一言メモを残す

大事なのは、きれいに整理することより、なくさないことと、置き場所が決まっていることです。

資料の入口を整理する

少人数の会社でも、資料は思っている以上にいろいろな経路で届きます。まず、自社の入口を書き出してみてください。

入口例置き場所の例
紙で受け取る店舗のレシート・領収書、郵送の請求書トレー・封筒に入れ、月ごとにまとめる。会社によっては、スマホ等で撮影して共有する運用にすることもあります
メールで届くPDFの請求書・領収書共有のフォルダに保存する
ECサイト・WebサービスAmazon等の領収書、サブスクの請求書月1回、マイページからダウンロードして共有のフォルダへ
会社が発行する自社の請求書請求ソフトの控え、またはPDFを共有のフォルダへ
社長・従業員の立替個人で払った会社の経費の領収書精算のときに一緒に提出する

置き場所は、会社で1か所に決めます。共有ドライブのフォルダでも、会計ソフトの証憑の保存機能でもかまいません。「どこにあるか聞かなくても分かる」状態にすることが目的です。

実務で確認する順番

  1. 入口を書き出す

上の表のように、自社の資料がどこから届くかを一覧にします。

  1. 置き場所を1か所に決める

紙は月ごとの封筒やクリアファイル、データは月ごとのフォルダなど、単純な形で十分です。

  1. 集める人と締め日を決める

誰が、毎月何日までに、どこへ置くかを決めます。ECサイトのダウンロードは忘れやすいので、担当と日を決めておきます。

  1. 明細と照らし合わせて、足りないものを探す

口座・カードの明細を基準にして、領収書・請求書がそろっていない取引を拾います。先にお金の動きを確定させ、あとから証憑を合わせる順番です。

  1. 足りないものは、その月のうちに取り寄せる

再発行やダウンロードで取れるものは、月をまたがないうちに対応します。

  1. メモを残す

飲食代の相手や目的、まとめ買いの内訳など、明細や領収書だけでは分からないことを一言書いておきます。

保存で気をつけたいこと

データで受け取ったものは、データのまま保存する

メールのPDFやECサイトの領収書など、データでやり取りした注文書・契約書・請求書・領収書などは「電子取引データ」として、データのまま保存する必要があります。受け取った場合だけでなく、送った場合も対象です。専用のシステムを入れていなくても、「日付・金額・取引先」を入れた規則的なファイル名を付けて特定のフォルダにまとめる方法などで、検索できる状態にすることができます(例: 20261015_33000_取引先名.pdf)。改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る方法など、システム費用をかけずにできる対応もあります。細かな要件は国税庁の案内で確認してください。

紙でやり取りしたものを、データにしなければならないわけではない

紙で受け取ったものは、紙のまま保存してかまいません。撮影してデータで共有するのは、経理を早く回すための工夫です。紙の原本の代わりにスキャンしたデータだけで保存する方法(スキャナ保存)は、一定の要件のもとで認められる制度です。紙の原本を手放したい場合は、国税庁の案内で要件を確認してから進めてください。

カードの利用明細だけでは足りない

クレジットカード会社の利用明細は、一般的に適格請求書(インボイス)には該当しません。消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として帳簿とあわせて請求書等を保存する必要があるため、カードで払ったものも、店舗の領収書やECサイトの請求書を別に保存します。公共交通機関の運賃など、請求書等の保存がなくても控除を受けられる特例の対象となる取引もあります。

保存期間

法人の帳簿や領収書・請求書などは、原則として、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。欠損金(赤字の繰越し)が生じた事業年度は10年間です。

よくあるつまずき

社長のところで資料が止まる

少人数の会社では、社長が一番多く支払いをしていることがよくあります。社長の財布やカバンに入ったままの領収書が、月次の経理を止める一番の原因になりがちです。法人カードに支払いを集め、立替そのものを減らすと、集める資料も減ります。

ECサイトの領収書を取りにいかない

カードの明細に金額が出ているので安心して、ECサイトの領収書を取りにいかないまま、決算の直前にまとめてダウンロードすることになる、というのもよくあることです。月1回、日を決めて取りにいきます。

置き場所が人によって違う

メールで受け取る人は受信箱、紙で受け取る人は机の引き出し、というように置き場所がばらばらだと、探す時間がかかります。置き場所は会社で1つにします。

山川事務所ではどこまで支援するか

当事務所では、領収書や請求書などの資料を集めて保存すること、取引の内容が分かるようにメモを残すことは、お客様にお願いしています。取引をした本人が一番よく分かっていることなので、お客様側でやっていただいた方が効率がよいためです。

そのうえで、領収書の管理方法、経費精算のやり方、請求書の保管ルールなど、日々の資料が回る流れを一緒に整えます。新しいシステムを入れることを前提にせず、まず資料がどこから集まっているかから整理します。

毎月の確認で、証憑が見当たらず処理を決められない取引や、摘要や取引先だけでは内容が分からない取引があれば、事務所側で内容を推測して仕訳を決めることはせず、確認事項としてまとめてお尋ねします。

入力をお任せいただく記帳代行(別料金)の場合、料金は資料の共有のしかたで分けています。所定のフォームに入力し、領収書・請求書等を共有ドライブに保管していただく場合と、領収書・請求書・通帳・カード明細等をまとめて共有いただき、整理から行う場合です。

資料を毎月いつまでに共有していただくかは、事務所で一律の日を決めているわけではありません。会社ごとに、締日・給与日・月次の確認日から逆算して、毎月の提出期限を決めます。

まとめ

  • 資料の入口ごとに「誰が・いつ・どこへ」を決め、置き場所は1か所にする
  • 明細はお金の動き、領収書・請求書は取引の中身と証拠。両方そろえる
  • 明細を基準に足りない資料を探し、その月のうちに取り寄せる
  • データで受け取ったものはデータのまま、検索できる形で保存する
  • カードの利用明細だけでは、原則として仕入税額控除に必要な保存にならない
  • 保存期間は原則7年(欠損金が生じた年度は10年)

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