会社員から独立して個人事業主になると、
「どんな税金を払うのか」
「いつ払うのか」
が急に気になってくることがあります。
会社員のときは、税金が給与から天引きされていて、自分で強く意識しないまま過ぎていた方も多いと思います。
一方で、個人事業主やフリーランスになると、自分で申告し、自分で納付していく場面が増えます。
開業したばかりの時期は、税金だけでなく、最初に出しておきたい届出書も整理しておくと進めやすくなります。
→ 個人事業主・フリーランスで開業したらまず出したい届出書は?開業時の手続きを整理
今回は、開業後に慌てやすい税金の種類と、支払い時期の考え方を整理します。
個人事業主がまず意識したい税金
個人事業主として事業をすると、まず意識したいのは次のような税金です。
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
- 償却資産税
ただし、全員に同じように発生するわけではありません。
事業の規模や内容によって、関係してくる税金は変わります。
まずは「所得税」と「住民税」を意識する
開業したばかりの方が最初に意識しやすいのは、所得税と住民税です。
所得税
所得税は、1年間の所得に対してかかる税金です。
個人事業主の場合は、売上から必要経費を引いて所得を計算し、確定申告をして納付します。
会社員のように年末調整で終わるわけではないので、
自分で集計して、自分で申告する
必要があります。
住民税
住民税も所得に応じてかかる税金です。
個人事業主の場合は、確定申告の内容が自治体へ連携され、その後に納付書が届く流れが一般的です。
開業したばかりのときは、
確定申告が終わったあと、少し遅れて住民税が来る
という感覚を持っておくと慌てにくいです。
消費税は「全員がすぐ払う」とは限らない
消費税は、個人事業主なら必ず最初から払う、というわけではありません。
売上規模や登録状況によって関係してくるため、
「自分は申告が必要なのか」
を早めに確認しておくことが大切です。
特に、インボイス登録をしている場合などは、売上規模だけで判断しにくいことがあります。
このあたりは誤解が起きやすいので、必要に応じて個別に確認したほうが安心です。
開業場所や事業の形によっては、申告先や手続きの考え方で迷うこともあります。
→ 【個人】バーチャルオフィス・レンタルオフィスで起業した場合の申告先(納税地)はどこ?
個人事業税と償却資産税は、後から出てくることがあります
この2つは、開業したばかりの方だと見落としやすい税金です。
個人事業税
個人事業税は、都道府県の税金です。法律で決められた70の業種(法定業種)に当たる事業をしている場合にかかります。東京都主税局の案内でも「ほとんどの事業が該当します」とされています。
- かかるかどうかの目安:事業の所得から「事業主控除」年290万円を差し引いて計算します。所得が290万円以下なら、基本的にはかかりません。ただし、青色申告特別控除(65万円など)は差し引く前の金額で計算する点に注意が必要です。開業した年は、290万円が月割りになります。
- 税率:業種ごとに決まっていて、多くの業種は5%です(例:請負業、デザイン業、コンサルタント業)。
- 申告:所得税の確定申告をしていれば、別に申告する必要はありません。確定申告書の「事業税に関する事項」欄に記入します。
- 納める時期(東京都の場合):8月に都税事務所から納税通知書が届き、原則8月末と11月末の2回で納めます。東京都以外の方は、お住まいの都道府県の案内をご確認ください。
所得税や住民税だけを見ていると、夏になって「まだあるの?」となりやすい税金です。
また、業種を確認するために、都税事務所から事業の内容についての照会書が届くことがあります。業務委託契約か請負契約かといった契約の形だけでなく、実際の仕事の内容で業種が判断されるため、回答するときは契約書と仕事の実態をそろえて説明することが大切です。
→ 照会書が届いたときの相談事例:東京都から個人事業税の照会書が届いた個人事業主へのスポット相談事例
償却資産税
パソコンや機械、備品など、事業用の資産がある場合に関わってくることがあります。
こちらも、開業時に設備をそろえた方ほど意識しておきたい項目です。
個人事業主が慌てやすいのは「税金の種類」より「支払い時期」です
実務では、税金の名前そのものより、
いつお金が出ていくのか
で困ることが多いです。
たとえば、
- 3月頃に所得税
- その後に住民税
- 条件によっては消費税
- 8月・11月に個人事業税(東京都の場合)、条件によって償却資産税
というように、開業してすぐは見えにくくても、時期をずらして負担が出てくることがあります。
「税金は年1回だけ」と思っていると、後から資金繰りがきつくなりやすいです。
まずはざっくり年間の流れを持っておく
細かい日付まで完璧に覚える必要はありません。
まずは、
- 確定申告の時期
- その後に住民税が来ること
- 事業税や償却資産税が後から関わる可能性があること
このくらいを年間の流れとして持っておくだけでもかなり違います。
税金は、存在を知らないまま急に来ると重く感じます。
逆に、最初からスケジュール感だけでも分かっていれば準備しやすくなります。
開業したら「税金用のお金」を分けておくとラクです
これはかなり実務的な話ですが、
入ってきたお金を全部使えるものとして考えないことが大切です。
個人事業主になったばかりだと、売上が入ると安心します。
ただ、その中には後で税金として出ていく分も含まれています。
そのため、
- 税金用に少し残しておく
- 別口座で管理する
- 月ごとにざっくり資金を分ける
といった形にしておくと、確定申告後の負担がかなり変わります。
あわせて、支出を見直すときは「これは経費になるのか」で迷う場面も多いです。
→ 経費になる?ならない?迷ったときに持っておきたい判断基準
個人事業税についてよくある質問
Q. 個人事業税の申告は、確定申告とは別に必要ですか?
A. 所得税の確定申告をしていれば不要です。確定申告書の「事業税に関する事項」欄に記入します。
Q. 都税事務所から事業内容についての照会書が届いたら、どうすればいいですか?
A. 契約書と実際の仕事の内容を確認し、事実にもとづいて回答します。判断に迷う場合は、1回からの税務相談もご利用いただけます。
※ 個人事業税の記載は、2026年9月時点の東京都主税局「個人事業税」の案内にもとづいています。
まとめ
個人事業主やフリーランスになると、会社員のときよりも、自分で税金を意識する場面が増えます。
特に最初は、
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
- 償却資産税
といった税金のうち、どれが自分に関係するのかを整理しておくことが大切です。
そして、それ以上に大事なのは、
いつ頃お金が出ていきやすいかを把握しておくこと
です。
開業したばかりの時期は、売上や経費の管理だけでも大変ですが、税金の支払い時期まで少し意識しておくと、あとでかなりラクになります。
開業後の税金は、制度そのものより「何が自分に関係するのか」「いつ頃支払いが出てくるのか」で迷いやすいです。
不安がある場合は、早めに年間の流れを整理しておくと見通しが立てやすくなります。

