freee やマネーフォワード クラウド会計を使っていると、「自動で入った仕訳を、そのまま信じていいのか」と迷う場面があると思います。
先に結論をお伝えします。
自動仕訳に任せやすいのは、毎月同じ相手・同じ内容で繰り返す取引です。新しく出てきた取引や、いつもの金額・内容から外れる取引は、人が確認してから処理します。この考え方は、会社が入力していても、税理士が入力していても同じです。変わるのは「誰が、いつ確認するか」だけです。
前提:誰が入力するかは会社ごとに違う
freee・マネーフォワードの使い方は、会社によって大きく次の3つに整理できます。
| 型 | 入力する人 | 確認する人 |
|---|---|---|
| 自社入力型 | 会社(社長・経理担当) | 税理士が毎月確認 |
| 税理士入力型 | 税理士 | 税理士が処理し、分からない点を会社に確認 |
| 分担型 | 口座や取引の種類で会社と税理士が分ける | 担当ごとに確認し、境目を決めておく |
この記事で紹介する「任せやすい取引」「一旦処理してあとで確認できる取引」「登録前に判断した方がよい取引」の分け方は、3つの型どれでも使えます。
自動仕訳に任せやすい取引
ほぼ自動で流してよいのは、次のような取引です。
- サブスクリプション(ソフトウェアやクラウドサービスの月額料金など)
- 毎月同じ取引先との、同じ内容の取引
どちらも、相手・内容・金額のパターンが毎月そろっているので、一度正しいルールを作れば、同じ仕訳を繰り返せます。当事務所でも、3類型のどれでも、こうした取引は自動仕訳に任せています。
一旦処理して、あとで確認できる取引
すぐに正解が決まらない取引でも、必ず登録の前に止めるとは限りません。あとから資料で確かめられるものは、一旦処理して、確認したうえで直す方法もあります。
会社が入力する場合(自社入力型・分担型)
たとえば車の買い替えのように、下取りやローンが絡む取引でも、税理士が「いったん、こう登録してください」とお伝えして登録してもらい、請求書や契約書を見てから税理士側で修正することがあります。
経理担当者がいる会社では、仕訳案を見せてもらい、税理士から修正案を返す形を取ることもあります。
税理士が入力する場合(当事務所での例)
資料が足りずに判断できない取引が、1回限りのものなら、当事務所では仮の勘定で一旦処理することがあります(仮払金など)。資料がそろった時点で、正しい科目へ振り替えます。
これは当事務所での一時的な処理の例で、どの会社にもおすすめする方法ではありません。仮の勘定で処理した取引は、そのまま残さず、あとで必ず確認して振り替えることが前提です。
登録前に判断した方がよい取引
次のような取引は、自動で流さず、内容を確かめてから処理します。
- 新しく出てきた取引先・取引
今後も続く取引であれば、最初の処理をもとに自動仕訳ルールを作ることがあります。最初の処理を間違えると、その後も同じ処理を繰り返す原因になるため、最初は人が確認します。3類型のどれでも同じです。 - 金額が大きい取引
普段の定型処理とは違う内容が含まれていないかを確認します。固定資産の購入など、会計処理そのものが変わる場合もあります。パソコンや備品を買ったときの確認は、パソコンや備品を買った月に、経理でやることにまとめています。 - いつもの金額・内容のパターンから外れる取引
毎月同じ相手でも、普段と違う金額や内容のときは、会社側に内容を確認しないと処理を決められないことがあります。
初めての取引や、ルールを作るときの考え方
初めての取引には、今後も出てくるかどうかで対応を分けています。
- 今後も繰り返し出てくる取引
必要なら補助科目を作ってから登録します。今後も繰り返す取引は、最初の処理をもとにルールを作ることが多いため、最初に処理方法を確認しておきます。
税理士側で入力していて資料が足りないときは、当事務所では未処理のままにして、資料が届くのを待ちます。ルールはあとから直すこともできますが、最初から正しいルールを作っておきたいからです。 - 1回しか出てこない取引
補助科目までは作らず、勘定科目をお伝えして登録してもらいます。
取引先の名前や引き落としの表記が変わったときも、ルールが合わなくなることがあります。ルールの見直しのしかたは、自動仕訳ルールの見直しで、経理チェックの手間はどこまで減らせるで紹介しています。
自社入力・税理士入力・分担型で、確認のしかたはどう変わるか
判断の基準は同じでも、確認の流れは型ごとに違います。
自社入力型
- 会社が登録し、税理士が毎月まとめて確認する
- 迷う取引は、登録する前に質問してもらうか、税理士の指示どおりに登録してもらい、あとで税理士が確認して直す
- 経理担当者がいる場合は、仕訳案を見せてもらい、修正案を返す
税理士入力型
- 税理士が処理し、判断できない取引や資料が足りない取引は、会社に確認する
- 当事務所では、まず内容を確認したうえで、1回限りの取引は仮の勘定でいったん処理し、今後も続く取引は資料が届くまで未処理のままにしています
分担型
- どの口座・どの種類の取引を、会社と税理士のどちらが担当するかを決めておく
- 担当の境目にある取引を、どちらが判断するかも決めておく
どの型でも、「誰が判断するか」「分からない取引をどこに残すか」が決まっていないと、確認が漏れやすくなります。
freee・マネーフォワードでルールを設定するときの注意
freee の「自動登録ルール」
- ルールには、勘定科目などの候補を出して人が確認してから登録する「推測する」と、確認せずに登録まで行う「登録する」があります。自動化に任せやすい取引は「登録する」、人が確認したい取引は「推測する」にしておくと使い分けやすくなります
- なお、この記事の「一旦処理して、あとで確認する」は freee の機能の分類ではなく、会社や税理士の側の運用です
- 条件は、完全一致・部分一致のほか、金額の範囲でも指定できます
- 新しく作ったルールは、次に取り込む明細から適用されます。すでに取り込んだ明細に適用するときは、「自動で経理」の画面から適用の操作をします
マネーフォワード クラウド会計の「自動仕訳ルール」
- 取り込んだ明細に対して、あらかじめ決めた仕訳を作るための機能です
- 明細の一致のさせ方(完全一致・部分一致など)を選べます。登録したルールは一覧で確認・編集できます
共通して気をつけること
誤ったルールを作ると、同じ誤りが毎月繰り返されます。ルールは、最初の段階で正しく作っておくことが大切です。具体的な操作は、各ソフトの公式ヘルプで最新の画面を確認してください。
自動化しても人が確認する仕事が残る理由は、クラウド会計の自動化で『人が確認すべき仕事』は何が残る?でも整理しています。
まとめ
- 自動仕訳に任せやすいのは、サブスクや毎月同じ取引先との同じ内容の取引
- 新しい取引、金額が大きい取引、いつものパターンから外れる取引は、人が確認してから処理する
- 一旦処理してあとで確認できる取引もある。どこまでそうするかは、資料であとから確かめられるかで決める
- 判断の基準は、自社入力・税理士入力・分担型のどれでも同じ。変わるのは誰がいつ確認するか
- ルールは最初から正しく作る。間違ったルールは、同じ誤りを繰り返す
「自動仕訳がどこまで合っているか不安」「ルールを作ったものの、見直せていない」という方は、一度ご相談ください。今の連携とルールの設定を一緒に確認し、自社で入力するか、税理士に任せるか、分担するかも含めて整理します。初回相談は1時間無料です。
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