銀行などの金融機関から借入れをすると、毎月、口座から返済額が引き落とされます。通帳には合計の金額しか載っていないため、全額を借入金の返済として登録していたり、毎月同じ割合で元金と利息に分けていたりして、決算のときに借入金の残高が返済予定表と合わない、ということが起きます。
この記事では、借入金の返済を毎月どう記帳し、返済予定表とどう合わせるかをお伝えします。
結論:返済予定表を手元に置き、元金と利息を分けて記帳し、月末の残高を予定表と比べる
- 毎月の返済額は、元金(借りたお金そのものを返す部分)と 利息 に分かれている。分け方は返済予定表で確認する
- 元金の部分は借入金を減らし、利息の部分は支払利息(費用)にする
- 月末の借入金の残高が、返済予定表の「返済後の残高」と一致しているかを毎月確認する
- 借入れが複数ある場合は、借入れごとに分けて残高を管理する
返済予定表で見るところ
金融機関から受け取る返済予定表(償還予定表などと呼ばれることもあります)には、返済日ごとに次のような項目が並んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 返済日 | 引き落とされる日 |
| 返済額 | その回に引き落とされる合計額 |
| 元金 | 返済額のうち、借入金の残高を減らす部分 |
| 利息 | 返済額のうち、利息の部分 |
| 残高 | その回の返済が終わった後の借入金の残高 |
帳簿は、この表の「元金」「利息」「残高」に合わせていきます。
毎月の記帳と確認の手順
返済額を、元金と利息に分けて登録する
通帳の引き落とし額を、返済予定表のその回の元金と利息に分けて登録します。
- 借方:借入金(元金の額)/支払利息(利息の額)
- 貸方:普通預金(返済額の合計)
- 摘要の例:「○○銀行 借入返済 第○回(元金○円・利息○円)」
元金の部分は、借りたお金を返しているだけなので費用にはなりません。費用になるのは利息の部分です。
月末の残高を、返済予定表の残高と比べる
登録したら、月末の借入金の残高を返済予定表の「残高」と比べます。一致していれば、その月までの記帳は合っています。
あわせて、支払利息の期首からの累計を、予定表のその期間の利息の合計と比べます。元金の残高が合っていても、利息の一部が別の科目に入っていたり、利息がない月があったりすると、ここでずれが見つかります。
一致しない場合は、次の順で確認します。
- 返済の登録漏れ・二重登録がないか(通帳の明細と照らす)
- 元金と利息の分け方が、その回の予定表の数字と合っているか
- 借入れを受けたときの金額(入金額ではなく借入額)で計上しているか
借入れが複数あるときは、借入れごとに分ける
同じ金融機関から複数回借りている場合や、複数の金融機関から借りている場合は、補助科目などで借入れごと(証書番号・契約ごと)に分けて残高を管理します。合計だけで管理していると、どの借入れの残高がずれているのかが分かりません。
よくあるつまずき
自動仕訳ルールで、毎月同じ金額に分けている
銀行連携の自動仕訳ルールで「毎月、元金○円・利息○円」と固定して登録していると、実際の予定表とずれていきます。多くの返済方法では、回を重ねるごとに利息が減り、元金の割合が変わるためです。元金の額が毎月同じ返済方法でも、利息は残高に応じて変わります。
返済額が毎月同じでも、中身の内訳は毎月違うことがある、と考えておくと安心です。自動仕訳ルールを使う場合は、登録後に予定表の数字へ直すか、月末に残高を確認する手順を組み合わせます。
全額を借入金の返済にしている
利息の分まで借入金の返済として登録すると、借入金の残高が予定表より早く減り、費用(支払利息)が計上されません。
借入れのときに、入金額で計上している
借入れのときに保証料や手数料などが差し引かれて入金された場合、入金額だけを借入金にすると、最初から残高がずれます。借入金は契約上の借入額で計上し、差し引かれた保証料や手数料は別に計上します。
返済条件が変わったのに、古い予定表のまま
変動金利で利率が変わった、繰上返済をした、返済条件を変更した、といった場合は、新しい返済予定表が出ています。古い予定表のまま記帳を続けないよう、最新のものを手元に置きます。
消費税の面で確認しておくこと
借入金の利息や、信用保証協会などへの信用保証料は、消費税がかからない取引(非課税)です。税区分を課税仕入れにしていないかを確認します。元金の返済は、そもそも消費税の対象外です。
保証料を借入時にまとめて支払った場合、一般的には、支払った年にまとめて費用にする方法と、保証期間に合わせて分けて費用にする方法が考えられます。どちらにするかは一律には決めず、金額や保証期間、過去から続けている処理、使っている会計ソフト、会社の経理の運用を確認して決めます。
決算で気をつけること
決算の前には、決算日時点の借入金の残高が返済予定表と一致しているかを確認します。また、決算書では、長期の借入金のうち1年以内に返済する部分を分けて表示することがあります。分けて表示するかどうか、どの科目で表示するかは、借入れの内容や過去から続けている処理、会計ソフト、会社の経理の運用を確認して決めます。
返済額は利益からは差し引かれない一方で、現金は出ていきます。利益が出ているのにお金が残らない理由の一つにもなるため、納税の見込みや資金繰りを考えるときにも、返済予定表は手元に置いておくと役に立ちます(事業を始めたらお金の流れを把握しよう|利益が出ているのに現金がない理由)。
山川事務所ではどこまで支援するか
月次の確認では、借入金の残高や支払利息についても、返済予定表と照らして見ています。
- この確認は返済予定表と照らして行うため、借入れのときの予定表と、条件が変わったときの新しい予定表の共有をお客様にお願いしています。予定表がないまま、元金と利息の内訳を事務所側で推測して仕訳を決めることはしません
- 毎月の返済の記帳がお客様の入力であっても、月次の確認で予定表と合わない部分は、事務所側で修正または確認します
- 月次で確認した数字は、納税見込みや資金繰りの確認にも使えるように整理しています
- 融資の申込みの支援は、顧問料とは別のオプション(借入総額×3%・最低100,000円・税抜)としてご案内しています
まとめ
- 毎月の返済額は、返済予定表を見て元金と利息に分けて記帳する
- 元金は借入金を減らし、利息は支払利息にする
- 月末の借入金の残高を、返済予定表の残高と毎月比べる
- 借入れが複数あれば、借入れごとに分けて管理する
- 自動仕訳ルールで固定額に分けていると、実際の予定表とずれていく
- 利息と信用保証料は非課税。税区分も確認する
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