freee やマネーフォワード クラウド会計を入れると、「税理士に頼むことは減るのだろうか」「そもそも何を頼めばいいのか」と迷う方もいると思います。
先に結論をお伝えします。
クラウド会計が得意なのは、明細の取り込みや仕訳候補の作成、設定したルールに沿った処理です。一方で、取引の内容が会社の実態に合っているかの判断、毎月の数字の確認、決算と申告は人に残ります。その残った部分を、会社と税理士でどう分けるかを決めるのが、税理士に何を頼むかを決めることです。
この記事では、ソフト・会社・税理士の役割分担と、頼み方の考え方を、実務の流れに沿って整理します。
結論:freee・マネーフォワードを入れても、判断と申告は会社と税理士に残る
クラウド会計は、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、勘定科目の候補を出し、決めたルールに沿って登録してくれます。手入力はかなり減ります。
ただ、ソフトが候補を出したり自動で登録したりしても、それが会社の実態に合っているかまでは任せきれません。たとえば次のようなことです。
- その支払いが何のためのものか
- 会社の取引か、社長個人の支払いか
- どの税区分になるか、どの月の費用にするか
- 毎月の数字に、おかしなところがないか
どこまでを会社が担い、どこからを税理士に頼むかは、社内に取引内容を判断できる人がいるか、経理にどこまで時間を使えるかで変わります。
ソフトがやること・会社に残ること・税理士に頼めること
| 担い手 | 主な中身 |
|---|---|
| ソフト(freee・マネーフォワード) | 明細の取り込み、仕訳の候補づくり、設定したルールに沿った登録、試算表の集計 |
| 会社 | 取引の目的や使った人の説明、領収書・請求書の保存、明細の処理(自社で入力する場合)、役員報酬や設備投資などの経営判断 |
| 税理士 | 仕訳の確認と修正の助言、税区分や計上時期の判断、毎月の数字の確認、決算書・申告書の作成、税務の相談 |
申告書の作成や税務の相談は税理士の業務で、記帳の代行もあわせて頼むことができます。
なお、ソフトが出した候補をそのまま信じてよいかについては、クラウド会計を入れたのに経理が楽にならない理由でも整理しています。
税理士への頼み方は、大きく3つ
ここでは、一般的な依頼の形を3つに分けて紹介します。どの形を受けているかは事務所によって違うので、依頼先に確認してください。
1. 入力から任せる(記帳代行と顧問)
- 合いやすい会社:社内に経理担当がいない、社長が入力する時間を取れない
- 気をつけること:取引の目的や使った人など、社内でしか分からないことは、資料や質問への回答として会社側に残ります
2. 自社で入力し、税理士が毎月確認する
- 合いやすい会社:入力を担当する人がいる、毎月の数字を早く見たい
- 気をつけること:連携のしかたや入力のルールがあいまいだと、同じ取引でも処理がばらつきます
3. 決算・申告だけを頼む
- 合いやすい会社:期中の経理を社内で完結でき、期中に税務の相談をする場面が少ない
- 気をつけること:期中の誤りが、決算のときにまとめて見つかることがあります
顧問契約と決算・申告のみの違いは、税務顧問と決算申告のみの違いで詳しく比べています。依頼する前に自社でどこまでやるかは、税理士に頼む前に、自分で経理をどこまでやればいい?も参考にしてください。
依頼する前に、税理士と決めておく5つのこと
freee・マネーフォワードを使う場合は、頼み方に加えて、次の5つを最初に決めておくと、その後のやり取りがぶれにくくなります。
- データの共有のしかた
freee は税理士をアドバイザーとして事業所に招待する形、マネーフォワード クラウド会計はメンバーとして追加する形が用意されています。どこまでの操作を認めるかは権限で決められるので、頼む範囲に合わせて相談します。 - 明細を誰が処理するか
会社か、税理士か。両方で分ける場合は、どの口座・どのカードをどちらが担当するか。 - 自動登録ルール・自動仕訳ルールを誰が作り、誰が直すか
- 毎月の締め日
資料を出す日と、税理士が確認する日。 - 分からない取引の質問の出し方と、回答の期限
通帳やクレジットカード、Amazon などの連携方法や、補助科目・品目タグのルールが曖昧なまま使い始めると、同じ取引でも処理がばらつきます。結局、あとから仕訳を直すことが増えるので、最初にここを整理しておいた方が楽です。
税理士そのものの探し方・選び方は、税理士の探し方・選び方と税理士を選ぶ前に知っておきたいことにまとめています。
未処理の明細がたまっている会社は、最初に何を頼めばいいか
連携はしているのに、処理していない明細が積み上がっている。そんな状態から相談を始めることもできます。
たまる原因
- 誰が明細を処理するかが決まっていない
- ルールが実態に合っておらず、1件ずつ直す手間がかかるので後回しになる
- 判断できない明細が、そのまま残っている
放っておくと
- 試算表が実態とずれたまま進み、毎月の数字を判断に使えない
- 決算の前に、まとめて処理することになる
- 経費の漏れや二重計上に気づきにくい
片づける順番
当事務所では、まず次の順番で整理します。
- 自動仕訳ルール(freee では自動登録ルール)を先に確認する
- そのうえで、未処理の明細を登録していく
間違ったルールのまま先にまとめて登録すると、誤った仕訳がまとめてでき、あとから直す作業が増えてしまうためです。
ルールを直したあとも、すでにたまっている明細にどう反映されるかは、ソフトや設定によって違います。登録するときは、表示された候補の内容を確かめながら進めてください。判断できない明細は推測で登録せず、誰に確認するかを決めて残しておきます。
毎月の具体的な操作は、freeeで毎月やること・マネーフォワードで毎月やることの記事で紹介しています。
山川喜彰税理士事務所での進め方
顧問を始めるときの確認は、クラウド会計を使っている会社でも、そうでない会社でも、基本の流れは同じです。そのうえでクラウド会計の場合は、各サービスの間で何がどう連携していて、どうやって登録しているかを棚卸しすることが大事だと考えています。
具体的には、次のようなところを洗い出します。
- 通帳・クレジットカード・請求書ソフト・給与計算ソフトなど、何をどう連携しているか
- クレジットカードで Amazon を使っている場合の処理
- 通帳を複数使っている場合、口座の間の資金移動をどう処理しているか
- 経費精算システムや給与計算ソフトとの連携で、どこが自動化されていて、どうやって登録しているか
- 補助科目・品目タグの使い方のルール
確認と判断は、税理士本人が直接行います。
法人のお客様は税務顧問契約を基本としています。
まとめ
- クラウド会計が得意なのは、明細の取り込みや仕訳候補の作成、設定したルールに沿った処理。取引内容の判断、毎月の確認、決算・申告は人に残ります
- 税理士への一般的な頼み方は、入力から任せる/自社入力と毎月の確認/決算・申告だけ、の3つに大きく分かれます
- 依頼する前に、共有のしかた・明細の担当・ルールの管理者・締め日・質問の出し方を決めておくと、処理のばらつきや後からの修正を減らせます
- 未処理の明細がたまっているときは、ルールの確認を先に、登録をその後に
Q&A
Q. freee とマネーフォワード、税理士はどちらにも対応できますか?
事務所によって違います。依頼する前に、使っているソフトでの対応実績を確認してください。当事務所では、freee・マネーフォワード・弥生会計のどれが合うか、乗り換えが必要かどうかの相談も受けています。弥生会計からの乗り換えを考えている場合は、弥生会計から freee・マネーフォワードへ移行すべき?で、移行しなくてよい会社と移るときの注意点を整理しています。
Q. 税理士に、会計ソフトのすべての操作を任せても大丈夫ですか?
どこまでの操作を認めるかは、ソフトの権限設定で決められます。頼む範囲に合わせて、税理士と相談して決めてください。
Q. 記帳を税理士に任せると、社長は数字を見られなくなりますか?
クラウド会計なら、会社も税理士も同じデータを見られます。そのうえで、毎月どんな形で数字の報告を受けるかを、依頼するときに決めておくと安心です。
freee・マネーフォワードを使っていて、「設定が合っているか不安」「明細がたまっている」「税理士に何を頼めばいいか整理したい」という方は、一度ご相談ください。今の連携と入力の流れを一緒に確認するところから始めます。初回相談は1時間無料です。
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