会社でパソコンや机、複合機などを買ったとき、「とりあえず消耗品費で入れておいて、決算のときに考えればいい」と思っていませんか。
ところが決算のときになると、いくらで買ったのか、送料や設定費用はいくらだったのか、いつから使い始めたのかが分からず、資料を探すところから始まることがあります。
この記事では、パソコンや備品を買ったその月に経理でやることを、順番に整理します。10万円・20万円・30万円の違いや、取得価額に何を含めるかといった制度の説明は、減価償却の基本|10万円・20万円・30万円でどう変わる?と固定資産の取得価額とは?にまとめているので、ここでは「買った月の実務の流れ」に絞ります。
結論:買った月に、この4つを済ませておく
- 見積書・請求書・領収書・納品書をまとめて残す
- 付随費用も含めた金額で、どの区切りに入るかを確認する
- 使い始めた日を記録する
- 固定資産台帳(または資産のメモ)に登録する
買った月にこの4つを済ませておくと、決算のときに資料を探したり、処理をやり直したりする手間が減ります。
買った月に確認する順番
資料をまとめて残す
まず、買ったときの資料をまとめて残します。
- 見積書(何が含まれているかが分かる)
- 請求書・領収書(支払った金額と日付)
- 納品書(届いた日)
- 保証書・型番が分かるもの
特に見積書は、本体のほかに送料・設置費用・設定費用・保守料などが含まれているかを確認するのに役立ちます。ネットで買った場合は、注文確認メールや購入履歴の画面を保存しておきます。
付随費用も含めた金額で、区切りを確認する
減価償却資産は、取得価額によって処理の仕方が変わります。取得価額には、本体の代金だけでなく、送料や据付費など、使えるようにするまでにかかった費用が含まれるのが原則です(詳しくは固定資産の取得価額とは?)。
主な区切りは次のとおりです。
| 取得価額 | 主な処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 使い始めた年度に全額を費用にできる |
| 20万円未満 | 3年間で均等に費用にする方法(一括償却資産)を選べる |
| 中小企業者等の特例の上限未満 | 条件を満たす会社は、年間合計300万円まで全額を費用にできる |
| 上記以外 | 固定資産として耐用年数に応じて減価償却する |
中小企業者等の特例は、令和8年度の税制改正で見直されました。令和8年4月1日以後に取得した資産は40万円未満(改正前は30万円未満)が対象になり、適用期限は令和11年3月31日まで延長されています。年間合計300万円までという上限は変わりません。
対象になるのは、青色申告をしている中小企業者等で、常時使用する従業員の数が400人以下(改正前は500人以下)の会社です(一定の法人は、改正の前後とも300人以下)。30万円と40万円のどちらの基準を使うか、従業員数の要件をどちらで見るかは、取得した日で判定します。
また、金額の判定は、会社が税抜経理をしていれば税抜の金額、税込経理をしていれば税込の金額で行います。自社がどちらで経理しているかは、税込経理と税抜経理の違いも参考にしてください。
「10万円未満かどうか」は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。例えば応接セットは、椅子1脚ずつではなくセット全体で判定します。
使い始めた日を記録する
減価償却は、買った日ではなく、事業に使い始めた日からが基本です。10万円未満の資産を全額費用にする場合も、使い始めた事業年度で費用にします。
期末近くに買った場合は特に、「届いたのはいつか」「実際に使い始めたのはいつか」を記録しておきます。買ったのに期末までに使い始めていなければ、その期には費用にできないためです。
固定資産台帳に登録する
固定資産として計上するものは、会計ソフトの固定資産台帳に登録します。
- 資産の名前(何か分かる名前)
- 取得日・使い始めた日
- 取得価額
- 耐用年数・償却方法
- 置いている場所(店舗や事務所が複数ある場合)
一括償却資産や、特例で全額を費用にしたものも、何をいくらで買ったかを一覧にしておくと、決算の確認と、次に説明する償却資産の申告の準備に使えます。
年明けの「償却資産の申告」とのつながり
会社が持っている事業用の資産は、毎年1月1日時点のものを、1月31日までに市区町村(東京23区は都税事務所)に申告します(固定資産税の償却資産の申告)。
このとき、次の資産は申告の対象外です。
- 10万円未満で、一度に費用にしたもの
- 20万円未満で、一括償却資産として3年で費用にしているもの
一方、中小企業者等の特例で全額を費用にしたものは、固定資産税では特例がないため、申告の対象になります。
「全額を費用にしたから、もう関係ない」と思っていると、申告から漏れることがあります。買った月に一覧にしておくと、年明けの申告の準備が楽になります。
よくあるつまずき
本体だけの金額で判定してしまう
本体が9万円でも、設置費用や送料を含めると10万円を超えることがあります。見積書で内訳を確認してから判定します。
まとめ買いを1台ずつで判定してしまう
同じ机と椅子をセットで使う場合など、どの単位で判定するかで結論が変わることがあります。迷うものは、処理する前にご相談ください。
期末に買って、期末までに使っていない
期末の直前に買っても、使い始めたのが翌期なら、その期の費用にはなりません。
消耗品費に入れたまま、台帳に載っていない
10万円以上のものが消耗品費に入っていると、決算で固定資産などへの振替や、処理の確認をやり直すことになります。買った月に内容を確認しておけば、この手間を減らせます。
山川事務所ではどこまで支援するか
月次の確認では、固定資産や少額の資産にあたりそうな支出は、金額だけで区切らず、買った物の内容を見て、どのように処理するのがよいかを確認します。証憑が足りず判断できない取引があれば、お客様に確認します。
資料(見積書・請求書・領収書)を集めていただくことと、何に使うものかのメモを残していただくことは、お客様にお願いしています。
購入した支払いそのものは、通帳やカードの取引として、お客様に日々の入力の中で計上していただくのが基本です。一方、固定資産への振替や固定資産台帳への登録、減価償却など、月次の確認や決算の中で調整が必要になるものは、事務所側で確認・補完することがあります。ただし、買った物の内容・取得日(使い始めた日)・金額・用途・請求書などの事実の情報は、お客様から共有していただくことが前提です。入力済みの内容も、そのまま確定とはせず、月次の確認で科目や区分を見て、直す必要があるものは修正または確認します(工程ごとの分け方)。
なお、償却資産の申告は、税務顧問の月額には含まれず、別料金です。
まとめ
- 買った月に、資料を残す・区切りを確認する・使い始めた日を記録する・台帳に登録する、の4つを済ませる
- 金額は付随費用を含め、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込で判定する
- 中小企業者等の特例は、令和8年4月1日以後に取得したものから40万円未満が対象になった
- 特例で全額を費用にしたものも、償却資産の申告の対象になる
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