在庫がある小さな会社の期末棚卸|数え方・記録・金額の付け方

小さな会社の期末棚卸 会計

決算日が近づくと、「在庫の数を出してください」と言われる。でも、いつ、何を、どこまで数えればいいのか分からない。そんな小さな会社は少なくありません。

在庫の金額は、その期の利益に直接つながります。数え漏れがあれば利益は少なく、数えすぎれば利益は多く出ます。

この記事では、商品や材料の在庫がある小さな会社が、期末の棚卸をどう進めればよいかを、数え方・記録・金額の付け方の順に整理します。決算全体の準備は、決算の2〜3か月前に確認しておきたいことや法人化して最初の決算、何を準備しておけばいい?にまとめています。

結論:先に「いつ・何を・どこで」数えるかを決めておく

  • 数えるのは、原則として決算日時点の在庫
  • 事務所・倉庫だけでなく、外に預けている在庫や、送っている途中の在庫も対象になる
  • 数えた結果は、品名・数量・単価・金額が分かる棚卸表に残す
  • 単価の付け方は、届出をしていなければ最終仕入原価法(期末に一番近い時期に仕入れた単価を使う方法)になる
  • 棚卸表は、決算の資料として保存しておく

期末棚卸を進める順番

数える日と担当を決める

決算日当日に数えるのが基本です。決算日が休日などで当日に数えられない場合は、前後の日に数え、その間の入荷・出荷を足し引きして決算日時点の数量にそろえます。

小さな会社では、社長と1名の事務担当の方だけで数えることも多いと思います。数える日を先に決めておき、その日は出荷や入荷をできるだけ止めておくと、数え直しが減ります。

数える範囲を洗い出す

意外と漏れやすいのが、目の前にない在庫です。

  • 倉庫・店舗・事務所など、置き場所ごとの在庫
  • 外部の倉庫やEC事業者の物流倉庫に預けている在庫
  • 取引先に預けている在庫(委託販売など)
  • 決算日時点で、まだ届いていない仕入品(すでに自社のものになっているもの)
  • 作りかけのもの(仕掛品)や、材料

外部の倉庫に預けている在庫は、預け先から決算日時点の在庫数の資料をもらえることがあります。早めに依頼しておくと安心です。

反対に、預かっているだけの他社の商品は、自社の在庫には入れません。

棚卸表に記録する

数えた結果は、次の項目が分かる形で残します。Excelの表で十分です。

項目内容
品名・品番何か分かるように
置き場所倉庫・店舗など
数量数えた数
単価次の「金額の付け方」で決めた単価
金額数量×単価
数えた日・数えた人決算日と違う日に数えた場合は、その調整も

壊れて売れないもの、期限が切れたものは、備考に書いておきます。金額の扱いを別に考える必要があるためです。

単価を付ける(評価の方法)

在庫の金額を出すには、1つあたりの単価を決める必要があります。法人税では、いくつかの評価の方法から選んで税務署に届け出ることができます。

届け出をしていない場合は、最終仕入原価法という方法になります。これは、期末に一番近い時期に仕入れたときの単価で、期末の在庫全体の金額を計算する方法です。小さな会社では、この方法になっていることが多いと思います。

別の方法を選びたい場合は、「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出します。新しく設立した会社は、原則として設立1期目の確定申告書の提出期限までが提出の期限です。途中で変える場合は、変更したい事業年度が始まる日の前日までに、変更の承認申請が必要になります。どの方法が自社に合うかは、決算の前に相談しておくと安心です。

帳簿に反映する

棚卸表の合計金額を、決算日の日付で帳簿に反映します。期首の在庫を費用(売上原価)に振り替え、期末の在庫を資産に戻す形で処理するのが一般的です。会計ソフトごとに入れ方が違います。この仕訳は決算の中で調整が必要になるものなので、事務所側で確認・補完することがあります。

反映したあとは、次の点を見ておくと安心です。

  • 帳簿の期末の棚卸資産(商品・製品・材料など)の残高が、棚卸表の合計金額と一致しているか
  • 期首の在庫の金額が、前期の棚卸表の合計(前期末の残高)と一致しているか
  • 売上原価の売上に対する割合(原価率)が、前期や例年と比べて大きく変わっていないか。大きく変わっていれば、数え漏れ・数えすぎや、単価の付け違いがないかを見直す

よくあるつまずき

前の期の金額をそのまま使う

「在庫はだいたい毎年同じくらい」と、前期の金額をそのまま使ってしまうことがあります。実際に数えないと、売れ残りや数え漏れに気づけません。

外に預けている在庫を数えていない

EC事業者の倉庫や、委託販売先に置いている在庫は、手元にないため漏れやすいものです。

期末近くの仕入が在庫に入っていない

決算日の直前に仕入れて、まだ売れていないものは在庫です。仕入の請求書は来ているのに、在庫として数えていないことがあります。

事務用品などをどう扱うか迷う

コピー用紙などの事務用消耗品や包装材料で、毎期おおむね一定量を買って、いつも使っているものは、買ったときに費用にする処理を継続していれば、その処理が認められています。ただ、販売用の商品や、まとめて大量に買った消耗品は別に考える必要があります。迷うものはご相談ください。

棚卸表を残していない

金額だけを伝えて、棚卸表を残していないことがあります。あとから在庫の金額の根拠を聞かれたときに説明できるよう、棚卸表は決算の資料として保存しておきます。

山川事務所ではどこまで支援するか

1期目の決算の準備でも、在庫がある場合は、決算日時点の在庫を確認していただくようお願いしています。

月次の確認では、棚卸資産の残高の動きも見ています。

実地棚卸(実際に在庫を数えること)と在庫数量の把握、棚卸表の作成は、現場をいちばんよく知っているお客様にお願いしています。数量や単価を事務所側で推測して金額を決めることはしません。日々の仕入や売上の入力もお客様に計上していただくのが基本です。そのうえで、お客様の棚卸表をもとに、期末棚卸の会計処理(在庫の振替など)は事務所側で確認・補完することがあります。評価の方法は、届出の状況やこれまでの処理の続き方、在庫の内容を確認したうえで決めます。

まとめ

  • 数えるのは決算日時点の在庫。休日なら前後の日に数えて調整する
  • 外部倉庫・委託先・未着の仕入品・仕掛品や材料も対象
  • 棚卸表に、品名・数量・単価・金額を残す
  • 届出をしていなければ、最終仕入原価法で単価を付ける
  • 前期の金額をそのまま使わず、実際に数える

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