試算表を見たら、売上がレジの売上より多い。経費も、思っていたより膨らんでいる。調べてみると、同じ取引が2回入っていた。POSレジや決済サービス、銀行、クレジットカードを会計ソフトにつないでいる店舗で、こうしたことが起きることがあります。
先に結論をお伝えします。
二重計上を防ぐには、1つの取引について「どのデータで売上・経費を立てるか」を1つに決めることです。ほかのデータは、売上や経費をもう一度作るのではなく、入金の回収・支払いの消込・口座間の振替として扱います。見つけたときは、片方をすぐ消すのではなく、それぞれの仕訳が何を表しているかを確かめてから直します。
なぜ二重計上が起きるのか
クラウド会計は、連携を増やすほど入力の手間が減って便利になります。ただ、連携先が増えた分だけ、同じ取引が別の入口から入ってくる可能性も増えます。
たとえば、お客様がカードで支払った1回の売上には、
- POSレジの売上データ
- 決済サービスの売上明細
- 後日、銀行に入金された明細
という、3つのデータが残ります。どれも「同じ1回の売上」を別の角度から記録したものです。3つとも売上として登録すると、売上が実際より多くなります。
経費も同じです。Amazon で備品を買えば、Amazon の購入明細、クレジットカードの明細、領収書のデータが残ります。
計上の「起点」を1つ決める
当事務所では、まず、同じ取引を複数のデータから売上や経費にしないように、何を起点にするかを決めます。
売上の場合
POSレジで日々の売上が取れているなら、基本は POS 側を売上の起点にします。キャッシュレス決済の代金が後日銀行に入金されたときは、そこで新しく売上を計上するのではなく、売掛金などの回収として処理します。
経費の場合
クレジットカードの明細、Amazon などの購入明細、請求書・領収書の取り込みが全部ある場合に、全部から経費を作ってはいけません。たとえば Amazon の購入明細から内容まで取れているなら、そこで経費を計上し、カード側は支払い・消込として扱う、というように役割を分けます。
口座間のお金の移動
自社の口座から別の自社の口座へお金を移したときは、出金側を経費、入金側を収入にするのではなく、口座間の振替として処理します。
| データ | 役割の例 |
|---|---|
| POSレジ | 売上を立てる(起点) |
| 銀行への入金(キャッシュレス分) | 売掛金などの回収 |
| Amazon などの購入明細 | 経費を立てる(起点) |
| クレジットカードの明細 | 支払い・未払金の消込 |
| 自社口座間の移動 | 口座間の振替 |
どのデータを起点にするかは、店舗で使っているサービスや、明細にどこまで内容が載っているかで変わります。大切なのは、取引ごとに起点が1つに決まっていることです。
起きやすいパターン
当事務所で見てきた中では、次のようなパターンがありました。
- POS で売上を計上しているのに、キャッシュレスの銀行入金も売上にしている
- クレジットカードの明細から経費を登録し、同じ領収書や請求書からもう一度経費を登録している
- Amazon などの購入データと、クレジットカードの両方から経費を登録している
- 経費精算の側で経費を計上したあと、銀行振込やカードのデータの側でも経費にしている
- 自社の口座間の資金移動を、出金側と入金側で別々の取引として登録している
Amazon とカードの連携については、マネーフォワードクラウドでAmazonとクレジットカードを連携するときの注意点でも、マネーフォワードの場合を詳しく紹介しています。
見つけたときの直し方
1. 同じ・近い日付、同額または関連する金額の仕訳を探す
試算表や元帳で、同じ・近い日付、同額または関連する金額、同じ取引先・決済経路のものがないかを確認します。決済手数料が差し引かれていたり、入金日がずれていたりするため、日付や金額が完全に一致するとは限りません。
2. それぞれがどの連携元から入ったかを確かめる
POS なのか、銀行なのか、カードなのか、Amazon などの購入データなのか、請求書なのか。入ってきた経路を確認します。
3. 起点になるほうを残す
「この取引はどのデータを起点にするか」を決め、起点になるほうを残します。
4. もう一方は、消す前に役割を確かめる
ここが一番大事なところです。二重に見えるもう一方の仕訳は、単純に削除すればいいとは限りません。売掛金・未払金の消込や、口座振替として必要な場合があります。二重だから片方を消すのではなく、まず2つの仕訳がそれぞれ何を表しているかを確かめてから直します。
5. 直したあとに残高を確かめる
すでに登録されている仕訳を直したときは、売掛金・未払金・預金の残高がおかしくなっていないかまで確認します。預金の残高が合わないときの確かめ方は、会計ソフトの預金残高が通帳と合わないとき、どこから確認する?にまとめています。
連携を増やす前に決めておく
連携を増やすこと自体は、入力を減らすためにとても役に立ちます。そのうえで、新しいサービスをつなぐときには、
- そのデータで売上・経費を立てるのか
- 回収・消込・振替として扱うのか
を、つなぐ前に決めておくと、二重計上を防げます。
まとめ
- 1つの取引について、売上・経費を立てる「起点」のデータを1つに決める
- 起点以外のデータは、回収・消込・口座間の振替として扱う
- 見つけたら、同じ・近い日付、同額または関連する金額、同じ取引先・決済経路を確認し、それぞれの連携元を確かめる
- 二重に見える仕訳は、すぐ消さずに役割を確かめてから直し、最後に残高を確認する
店舗の会計ソフトで売上や経費が二重になっていないか不安な方、連携が増えて整理しきれていない方は、一度ご相談ください。何を起点にするかの整理から、直し方、その後の確認まで一緒に進めます。初回相談は1時間無料です。
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