クラウド会計で銀行やカードの明細を取り込むと、勘定科目と一緒に消費税の区分も自動で入ります。便利な反面、自動で入った区分がそのまま正しいとは限りません。
消費税の区分は、1件ずつの金額は小さくても、1年分がそのまま消費税の申告の計算に使われます。決算のときにまとめて直そうとすると、どの取引が何だったのかを思い出すところから始めることになります。
この記事では、クラウド会計で間違えやすい消費税区分の例と、毎月どこを確認すれば決算前に慌てずに済むかをお伝えします。
結論:勘定科目ごとに「いつもの区分」を決め、違うものだけを見る
- 消費税の区分は、大きく「課税(10%・8%)」「非課税」「対象外(不課税)」に分かれる
- 間違えやすいのは、同じ勘定科目の中に税率や区分が違う取引が混ざる場面
- 毎月、勘定科目ごとに区分を一覧にして、「いつもと違う区分」だけを確認する
- 初めての取引先・飲食やコンビニの支払い・海外のサービスは、自動に任せず人が見る
まず区分の種類を押さえる
細かい用語は覚えなくて大丈夫です。次の3つを区別できれば、月次の確認は進められます。
- 課税:消費税がかかる取引。税率は原則10%、飲食料品(酒類・外食を除く)と、週2回以上発行される新聞の定期購読は軽減税率の8%
- 非課税:取引ではあるものの、消費税をかけないと決められているもの。土地の貸付け、住宅の貸付け、利子、保険料など
- 対象外(不課税):そもそも消費税の対象になる取引ではないもの。給与、寄付金、保険金、配当金など
会計ソフトでは、これに「売上か仕入か」と「税率」が組み合わさって、たくさんの区分が並んでいます。
間違えやすい取引の例
飲食代:会議費・交際費の中で税率が混ざる
飲食料品の購入は8%ですが、お店の中で食べる外食は10%です。同じ「会議費」でも、お弁当を買った場合と、お店で打合せをした場合で税率が変わります。お酒は飲食料品に含まれず10%です。
コンビニ・スーパー:1枚のレシートに2つの税率
食品と日用品を一緒に買うと、1枚のレシートに8%と10%が混ざります。明細の合計額だけを取り込むと、どちらか一方の税率で入ってしまうことがあります。
家賃:事務所か住宅か
事務所や店舗の家賃は課税、住宅の家賃は非課税です。社宅や、住居兼事務所の契約は、契約書で用途を確認します。
保険料・利息・税金・社会保険料
保険料や借入金の利息は非課税、給与は対象外です。税金や社会保険料も、消費税のかかる仕入(課税仕入)にはなりません。これらが「課税仕入」になっていると、消費税を払っていないのに、払ったものとして計算されてしまいます。
区分に税率が入っていない
freeeなどでは、「課対仕入」のように税率が指定されていない区分が選べることがあります。税率が入っていないままだと、どちらの税率の取引なのかが帳簿から読み取りにくくなるため、10%・8%のどちらかに直しておくと安心です。
海外のサービス利用料
海外の会社がインターネットを通じて提供するWebサービスや広告配信の利用料は、国内の取引として消費税の対象になる場合があります。「事業者向け」か「消費者向け」か、相手がインボイスの登録をしているか、自社が簡易課税かどうかなどで扱いが変わるため、取引ごとに個別に確認します。自動で入った区分のままにせず、請求書の発行元や内容を確認します。
毎月確認する順番
勘定科目ごとに、使われている区分を一覧にする
会計ソフトの仕訳帳や集計機能で、勘定科目ごとにどの区分が使われているかを並べます。たとえば「通信費」は10%のはずなのに8%が1件だけある、「保険料」に課税の区分がある、といった「いつもと違うもの」がすぐに見つかります。
業種によって「普通はあり得ない区分」もあります。たとえば製造業や建設業の原価で8%が出てくるのは違和感がありますが、飲食店の仕入では8%が日常的に出てきます。自社の業種で「この科目はこの区分」という組み合わせを一度決めておくと、確認が早くなります。
初めての取引先を確認する
その月に初めて出てきた取引先は、勘定科目・消費税の区分・インボイス(登録番号のある請求書)の有無を最初に確認します。一度正しく決めて、次の月からは自動仕訳のルールに乗せます。
飲食・コンビニ・スーパーの支払いを確認する
購入内容で税率が変わる支払いは、固定のルールだけで処理しないようにします。レシートや領収書の内容を見て、税率を分けて入力します。
迷ったものに印をつけておく
その場で判断できないものは、メモなどで分かるように印をつけておきます。印があれば、税理士に確認するときにすぐ探せます。確認が終わったら外します。
よくあるつまずき
- 自動仕訳のルールを一度作ったまま見直していない:取引先が同じでも、買う物が変われば税率が変わることがあります
- 課税仕入にならない支払いが、課税の区分で入っている:保険料・税金・社会保険料などが課税仕入の区分のままだと、払っていない消費税を差し引く計算になります。勘定科目ごとの一覧で、これらの科目に課税の区分が混ざっていないかを確認します
- 決算でまとめて直す:1年分の区分を直すと、消費税の申告の計算も大きく動きます。毎月、その月の分だけ直すほうが負担は小さくなります
- 税込経理か税抜経理かを理解しないまま入力している:考え方は「税込経理と税抜経理の違い」をご覧ください
山川事務所ではどこまで支援するか
- 税務顧問の月次の確認で、口座の残高と会計の残高、取引内容と勘定科目とあわせて、消費税の区分を確認しています(自動化しても人が確認するところ)
- 明細の情報だけではインボイスの有無や税率が分からないことがあるため、証憑も確認します
- 勘定科目や自動仕訳ルールなど、日々の入力の土台になる設定の整理も、税務顧問の月額に含めています
- 通帳・カードなど日々の取引の登録はお客様、月次の確認は事務所、という分担が基本です。入力していただいた区分もそのまま確定とはせず、直す必要があるものは事務所で修正または確認します。入力までお任せいただく場合は記帳代行(別料金)になります(工程ごとの分け方)
まとめ
- 区分は「課税(10%・8%)」「非課税」「対象外」の3つを区別できれば、月次の確認は進められる
- 飲食・コンビニ・家賃・保険料・税金・海外サービスは、間違えやすい
- 毎月、勘定科目ごとに区分を一覧にして、いつもと違うものだけを確認する
- 初めての取引先は最初に人が確認し、決まったら自動仕訳のルールに乗せる
- 迷ったものは印をつけておき、決算前ではなく毎月確認する
赤字でも消費税の納付が出る理由は「赤字でもゼロにならない?」にまとめています。区分が正しく入っていることが、納付額を見込むための前提になります。
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